鳥 海 山

2,236m  山形県
2016年7月16日の登頂は ココ

2009年7月4日(土)~5日(
 4日:曇りのち晴れ 5日:霧雨/下界は晴れ
【メンバー】 妻 + 私

【7月4日 歩行時間/6時間37分】
鉾立(9:40)→(9:50)展望台 →(11:29)賽の河原(11:44)→(12:35)御浜小屋(13:00)→(13:56)七五三掛 →(稜線ルート)→(15:29)湯ノ台道分岐(15:49)→行者岳分岐 → 百宅口分岐のピーク →行者岳分岐 →(17:17)山頂御室小屋(大物忌神社)
【7月5日 歩行時間/4時間18分】
山頂御室小屋(大物忌神社)(6:15)→(千蛇谷コース)→(8:04)七五三掛 →(8:58)御浜小屋(9:05)→ 賽の河原 →(10:40)鉾立

鳥海山は、山形県と秋田県に跨る活火山で、福島県の燧ケ岳に次いで、東北地方で2番目に標高が高い山です。1801年の噴火でできた溶岩ドームが「新山」と呼ばれている最高点です。
この山も古くから山岳信仰の対象となり、「大物忌(おおものいみ)神社」が、山頂直下に建てられています。
月山登山の時にゆるやかに裾を引く鳥海山を遥かに眺め、容易に登れる山のような印象を持った記憶があります。今回は山小屋泊が初体験の妻と、山小屋1泊で登ります。鳥海山の登山口は多数ありますが、オーソドックスな鉾立ルートを取ります。

広い鉾立駐車場にはビジターセンター、トイレ、稲倉山荘が建ち、観光地の様相を見せています。

今日は、曇りがちの天気で3時以降から回復するようですが、運が悪いと雨に降られるかもしれません。

舗装された道を登り始めます。直ぐに左側にTDK保養所の「東雲荘」があります。一企業の山小屋なのですが、一般に開放するとは太っ腹!

夕方4時半までに山頂御室小屋に着けば良いので、ジックリと花の写真を撮りながら登ります。

展望台に着きます。展望台からは白糸の滝が見えるはずですが、霧に遮られて確認できません。展望の利かない展望台を後にして、更に登り続けます。

足元には「ミヤマツボスミレ」がアチコチに咲いています。しゃがみ込んで撮影するのですが、被写体が小さいので中々うまく撮れません。

ミヤマスボスミレ

ハナニガナ

シロバナニガナ

ゴゼンタチバナ

ハクサンシャクナゲ

ウラジロヨウラク

タニウツギ

ツクバネウツギ

ムシカリ

竹薮でゴソゴソ何かを採っている人が居ます。聞くと「タケノコ」を採っているとのことでした。見せていただきましたがどうやら「ヒメタケ」のようです。
昨晩の宿のご主人も鳥海山や月山に採りに行っているようなことを言っていました。自然の恵みですね。

鉾立から続いていた石段の先に雪渓が見えてきました。この辺りにはショウジョウバカマが多いです。

ショウジョウバカマ

ウスバスミレ

ヨツバシオガマ

シラネアオイ

オオバキスミレ

マルバシモツケ

イワイチョウ

ミツバノバイカオウレン

ツマトリソウ

雪渓のルート上には、赤いリボンが結ばれた棒が数十メートル間隔で立っています。霧が立ち込めて視界を遮ります。滑らないように落ち着いて歩を進めます。

今年は残雪が多く、このルートも本来の道を迂回して付けられているようです。しばらくして、左に急下降するようにロープが張られています。賽の河原への降り口です。

たまたま、対岸の山裾を登るグループが見えたので、河原へ一旦降りるのだと気づきましたが、そのまま雪渓を進んで行ってしまったかもしれません。助かりました。

初めて歩く山、増して霧の中の雪上では行動は慎重にしなければなりません。賽の河原に降り立ち、指導標の立つ近くで小休止することにします。

休みながら先ほど歩いた雪渓に目をやると、賽の河原に下りるロープの位置を通り越して先に行ってしまう登山者が多数居ました。無事に進めれば良いのですが。

軽くお腹を満たして再び石の階段を登り始めます。

少しすると再び雪渓の登りになります。凍結はしていないので、アイゼンは付けないで登れます。

雪渓を過ぎ再び石段を登り、ガレを過ぎるとコバイケイソウやチングルマの群落の中に建つ御浜(おはま)小屋に着きます。

チョウカイチングルマ

イワカガミ

コバイケイソウ

ミツバオウレン

ミヤマカラマツ

イワベンケイ

ここは鳥海山の山頂が望め、鳥海湖が眼下に見える眺望のよいところの筈ですが、生憎の霧のためそれは望めません。ここでも少し休むことにします。

多くの登山者が霧が晴れるのを待ち望んでいるようです。一瞬、霧が飛んで鳥海湖が顔を覗かせました。皆さん一斉に鳥海湖をバックに記念撮影です。私もご多分に漏れず。

ミヤマキンバイ

ミヤマキンポウゲ

ヒナザクラ

御浜小屋を出るとハクサンイチゲの大群落の中を歩きます。これほどの群生地には始めてお目にかかります。

圧倒されながら登り続けるとこんどはチングルマの群生地と登山道の両脇は一面のお花畑です。

ハクサンイチゲの大群落です

右の方を見ている猫のようです

この付近を「扇子森」というそうです。ミヤマウスユキソウも見つけました。ニッコウキスゲも咲き始めています。

八丁坂鞍部への石の階段を下るころには、すれ違う登山者の数が増えてきました。昨日登っての帰りなのでしょう。

ミヤマウスユキソウ

ニッコウキスゲ

ハクサンイチゲ

やや急な八丁坂を登りきり、岩場の登りの基部に着きます。七五三掛です。

七五三掛は千蛇谷コースと外輪山コースの分岐点になっています。

初心者向きには千蛇谷コースとの案内でしたが、視界が悪く雪渓歩きがあるし、誰も行く人が居ないので、先行のグループも向かった外輪山コースを登ることにします。

外輪山コースは、ハイマツが生える尾根沿いの道で、晴れていれば眺望が素晴らしそうです。登っている間に天気予報が当たって晴れてくれると嬉しいのですが。

岩場のよじ登りの場所もありますが、予想以上に尾根道は広く、危険を感じるような場所はありませんでした。

徐々に天候が好転し、日差しが出てきました。遠くが望めるまでにはなりませんが、新山の溶岩ドームも見え隠れするようになりました。

ベニバナイチゴ

イワウメ

コケモモ

先行していたグループが休む湯ノ台道との合流点(伏拝岳?)に着くころには、はっきりと新山が望め、今日の宿泊地の御室小屋も見えるようになりました。御室小屋が新山の直ぐ右下に建っていることが良く分かります。

折角、新山も見えるので、ここで記念撮影をしようと妻が言い出し、グループの方に撮っていただきました。
明日は晴れるという保証はありませんからというと、グループの皆さんも全員で撮ることになりました。

ミヤマカンスゲ

ツガザクラ

福島県から来られたご一行10名様の代表者と私の姓が同じだったため、何やら気持ちが打ち解けたようです。この後、御室小屋まで運命共同体となるのでした。
グループの出発に合わせて私たちも最後尾を付いていきます。

行者岳に登りつき、左側に文字が読めない指導標識を見つけました。左は沢へ下るルートのようです。もう1本別の標柱には「⇒山頂・大物忌神社」とはっきり読めます。

間違って中央のピークまで登ってしまいました。

今日の目的地は大物忌神社なので、グループと離れ私が右のコースを登り始めます。
岩場やハシゴを進み百宅口からの道との合流点のピークまで登りました。
この先に神社方面へ下るルートはあるのですが、雪渓のトラバースを2箇所通過しなければならず、危険性が高いのでやはり先ほどの沢へのルートを下ることにします。

右手の突き出た岩の基部まで戻る羽目になりました


戻り始めると、妻を始め、グループ皆が登って来ているではありませんか。グループのリーダーにこの先のルートは止した方が良い旨を告げ、Uターンを促します。
リーダーも自らルート確認のために先へ登りましたが、戻ることを決めました。

私の安易な決断が皆さんを惑わしてしまいました。
よく読めない標識のところを左に下っていきます。
グループのメンバーの中には、高所恐怖症の方が居られて、少し辛い下りになります。

谷に降り短い雪渓を渡って岩の階段を登りきると御室小屋(大物忌神社)に着きます。外輪山で余計な歩行をしたため、到着したのは5時になっていました。

余裕で到着する筈でしたが、予想以上に時間がかかってしまいました。花の撮影など油を売り過ぎたためでした。

きれいな夕焼けです。
明日も良い天気だ!~と思っていたのですが…

─────【2日目】─────

 

夜半からの雨は朝方には上がりましたが、強風と濃霧で視界が全くありません。新山への岩場は、雨に濡れて滑りやすくなっているだろうし、登っても何も見えるものがないという状況から、登頂は断念して下山することにします。残念です。

外輪山コースは吹きさらしで厳しいと判断し千蛇谷コースを下ることにします。昨日のグループの皆さんも私たちと同じ選択をしたようです。朝食を済ませ、昨日のグループの方々より少し先に小屋を出ました。

鳥居の横から新山へ向かう3人組みが登って行きました。無事を祈ります。濃霧で下山口が見つかりません。妻が石の印を見つけ下り始めます。初めて下る道なので、道標を見落とさないように注意して歩きます。こういう時のメガネはとても不自由です。電光方に岩交じりの道を下ると前方に雪渓が現れます。

霧のため、どちらに進むのか全く分かりません。戻って外輪山コースを行こうかと妻と相談します。でも例のグループの人たちも下ってくる筈です。
少しすると例のグループが追いつきました。
メンバーの中にこのコースの経験者が居て、先導してくれることになりました。助かった!

その後は、千蛇谷の雪渓がおわる七五三掛への登り口までご一緒させていただきました。
ほんとうに助かりました。感謝です。

七五三掛で外輪山コースを下ってきたご婦人二人組みに様子を伺うと、風も大したことなく危険はなかったとのこと。コース選択を誤ったみたいです。

七五三掛からは一気に御浜小屋まで下りました。
天候は一向に回復しません。

御浜小屋で休憩の後、賽の河原の雪渓を経て、黙々と下り続けました。

賽の河原の雪渓ではビーチサンダルで歩く韓国人と出会いました。何を考えているのか分かりません?

雪渓が終われば、あとは石畳の道を下るだけです。
前方に鉾立の駐車場が見えます。

展望台では昨日見られなかった白糸の滝を見ることができました。

展望台からは、遠方から見たときの優しい山ではなく、険しさを感じさせる山の一面を見ることができます。

鉾立ビジターセンターで展示物を見学し、2日間の汗を流すために遊佐町の鳥海温泉「あぽん西浜」へ向かいました。
下山後、悲しいことに妻から「二度と登りたくない」というコメントをもらいました。これで両神山に次いで2山目です。
私は美しい山だと思うので、いつの日か天候の安定した季節を選んで山頂を踏みに再来するつもりです。