早池峰山

1,917m  岩手県
2009年6月28日登頂は ココ

2006年7月1日(土)  曇り一時雨
【メンバー】 サンケイツアーズ + 私 + 妻

河原の坊(5:42)→(6:52)休憩(7:05)→(8:15)打石(8:22)→(9:00)早池峰山頂(9:30)→(10:06)御金蔵(10:12)→(10:53)休憩(10:59)→(11:26)小田越

【歩行時間 4時間42分】

以前から会社の友人と行こうと言っていて実現しなかった早池峰登山でしたが、新聞折込広告を見てツアーを即決し、妻とともにハヤチネウスユキソウに会いに出かけました。
催行日と休暇の関係で、夜行日帰りのバスツアーは体力的に厳しいのですが、私の今の立場ではやむを得ません。ツアーバスは、午後8時30分に新宿を出発し、岩手県花巻市大迫町の岳駐車場に翌早朝の4時30分に着きます。雨は落ちてきませんが霧が立ち込めています。添乗員さんの指導でバスの長旅で固まった体をほぐします。岳駐車場からは土日の交通規制のためシャトルバスに乗り換えなければなりません。我々のツアーは総勢80人の大所帯なので普通便だけでは乗り切れないため、岩手県交通で臨時便を増発してくださいました。

岳川に沿って林道を15分ほどで河原の坊の登山口に到着します。
早池峰地域では自然保護の観点から、携帯トイレの使用を推奨しており、シャトルバスの車内放送でも詳しく案内がありました。どこの山域でも糞尿処理は問題となっていて対策に苦労されているようです。岳駐車場、河原の坊と小田越に無料トイレが設置されているのですが、これらの有料化も仕方がないのかもしれません。地域の方の人情や包容力に甘えてばかりではいけないと思います。
多人数のため、6つの班に分かれて出発することになりました。

河原の坊からは、雑木林のゆるやかな坂道をコメガモリ沢沿いに登っていきます。
いきなり徒渉があり、その後何度か渡り返しがあります。朝のストレッチの時から感じていたのですが、地に足が着かないでフラフラしているのです。長い間座った姿勢を続けていたためでしょうか、足が言うことを聞いてくれません。
沢の石渡りは慎重に足を下ろさないとスリップしてしまうくらい不安定です。梅雨の真最中なので雨の覚悟はしていても降らないにこしたことはなかったのですが、ポツリポツリと落ちてきました。ザックカバーと雨具の上だけ着けて登り続けます。

ハクサンチドリ

ミヤマオダマキ

ベニバナイチヤクソウ

エンレイソウ

ナンブトラノオ

ミヤマアズマギク

ハクサンチドリやミヤマオダマキなどの花が、雨で暗くなった気持ちを癒してくれます。ご一緒のメンバーになったご夫婦に花の名前を教えていただくのですが、筆記具も持たずに来たため例のごとく三歩歩くと忘れてしまいます。妻が一緒になって覚えてくれます。私たちより遥かに年配の方々から次々と花の名前が出てくるのには本当に敬服します。こんな経験もツアーならではのことです。雑木林が途切れて、涸れた沢のようなところで小休止します。少し傾斜もきつくなってきました。これから先に目的のハヤチネウスユキソウが見られると聞きわくわくします。

ハヤチネウスユキソウ

休憩を終えて最後尾からの出発となりました。ツアーでの最後尾は後ろを気遣うことなく登れるので気が楽なことと、ガイドさんと話ができるので好きなポジションです。登り始めると直ぐにハヤチネウスユキソウに出会いました。雨露に濡れていたそれは想像していたよりも小さく、あまり美しいとは感じませんでした。それでも写真、写真と言って駆け寄って写しました。ガイドさんから「これからたくさん見られますよ」と隊列を乱した私にイエローカードが出されました。岩場ですが岩が階段状になっていて足場はしっかりしていてとても登りやすい登山道です。

見上げると急な斜面が眼前に迫ります。ガイドさんは「上を見て歩くと気持ちが萎えるから花を見て登った方が良いですよ」とアドバイスしてくれました。突然、妻が「太陽!」と叫び天を指差します。指の先を見ますが太陽はみえません。「あそこに!」と言われ暫く見ていると雲の向こうに僅かに太陽が顔を出しました。「晴れるかも?」という期待が湧いてきました。風にあおられて霧も少し晴れてきました。帰りに下る小田越への稜線が見えてきました。後方には薬師岳が姿を見せました。晴れると気分も爽快になります。

振り返ると薬師岳が競りあがっていました

しかし晴れ間は長続きしませんでした。10分もするとまた前のように霧に包まれてしまったのです。
前方にというより上方に熊の耳のような形の岩が見えます。また花を見ながら登ることにします。ハヤチネウスユキソウ、チングルマ、ミヤマオダマキなどの花が岩の隙間を埋めるように咲いています。山でこんなにたくさんの種類の花を見たことはありませんでした。雨の中の山登りは嫌いなので、梅雨の時期は敬遠して遠出はしなかったのですが、この時期でなければ味わえない山の楽しみ方もあるのだということを教えていただきました。 熊の耳の岩の横で小休止をします。

ミヤマシオガマ

ナンブイヌナズナ

イワベンケイ

山頂までもう少し

チングルマ・ハクサンチドリ・ミヤマアズマギク

疲労の色を隠せないメンバーもちらほら見え始めています。ガイドさんの「山頂まであと30分くらい」の言葉に皆さんファイトが沸いてきたようです。岩場の道を35分で山頂に到着しました。
山頂には早池峰神社の赤い祠が建っていて、その横には多数の剣が天に向けて刺されています。九州の高千穂峰の逆鉾を思い出します。信仰のある山には必ずといってよいほど剣があるような気がします。どうしてかは無信心な私は知りません。
早池峰山頂は360度の展望だと聞いていて少し期待をしていたのですが、残念ながら霧に包まれて眺望はまったくありません。

30分の休憩時間に標識の前で記念撮影をし、朝食の残りを食べます。山頂で風に当たってじっとしていると少し寒くなります。休憩を終えて下山します。

ガイドさんから「ストックはしまってください」という案内がありました。天狗の滑り岩の階段下りがあるからです。ハイマツの中を小田越に向けて下ります。上りの道とは雰囲気が違います。

ハイマツ帯を過ぎると荒涼とした感じの岩場で、咲いている花の種類も数も少ないのではないでしょうか?ザレ気味のガレ場を下って少しすると天狗の滑り岩の階段になります。登ってくるツアー客を先に通してから、2列の階段を使って下り始めます。少しすると止まってしまいました。なぜ?と思っていると下方から「中間で2列の階段が1列になってしまうので渋滞している」という答え。これはガイドさんのお粗末なミスで、最初から1列で下らせるべきだと思います。階段下りは妻が「霧に助けられたかも」と言っていたように周りが見えなかったことが幸いしたかもしれません。

恐怖感も無く無事に下りきりました。これから先もガレ場の下りが続きます。下りになってから、得意な方とそうでない方の差が大きく出てきました。妻も私も下りは得意なので遅れることはないのですが、後方とは相当離れてしまいました。先頭を歩く地元のガイドさんから御金蔵で待ちましょうと案内がありました。
この御金蔵の天辺の岩は上から見ると「くさび状」になっていて、その先端が北を向いているのは謎なのだそうです。確かに人の手によって積まれたような感じもしますが…?

イワカガミ

ミヤマカラマツ

ギンリョウソウ

2合目付近の岩場で最後の休憩をします。
ここから先は蛇紋岩が敷かれた樹林帯の中をひたすら小田越に向けて下ります。傾斜も緩いのでスピードも上がります。
例によって妻が薄暗い木の袂でギンリョウソウを見つけました。色々な物に目ざといのにはいつも感心させられます。(写真は撮ったのですが、帰ってからピンボケだったのがとても残念です。)

最後尾のガイドさんからしきりに先頭集団のガイドさんに「到着しましたか」と無線が入ります。定刻通りのバスに乗れるか心配のようです。
道も平らになると直ぐに小田越のバス停に到着しました。11時30分でした。最後尾のメンバーも程なく到着し全員が定刻のバスに乗れそうです。ガイドさんから「山頂で万歳するつもりが、忘れてしまったので、ここでやりましょう」と言って参加者全員で万歳三唱をしました。\(^o^)/
ポツポツとまた雨が落ちてきました。

峰南荘で中央観光バスに乗り換えるときにはドシャ降りで、どこにも寄れずバスに乗り込まざるを得ませんでした。そのため山バッジを買うこともできませんでした。
途中で立ち寄った道の駅も下車する時間が無かったですし、僅かな望みを持って寄った東和温泉にも置いてありませんでした。
でも、この山は是非もう一度来ようと思うので、それまでお楽しみをとっておくことにします。
梅雨の合間の心に残る山登りでした。