唐 松 岳

2,696m 長野県・富山県
2017年9月26日の登頂は ココ

2011年10月8日(土)~9日()  晴れ
【メンバー】 妻 & 私

【10月8日 行動時間/4時間50分】
八方池山荘(8:30)→ 第二ケルン → 八方ケルン → 第三ケルン(八方池)→ 下カンバ → 扇雪渓 → 丸山ケルン →(13:20)唐松岳頂上山荘【宿泊】
【10月9日 行動時間/4時間53分】
唐松岳頂上山荘(8:12)→(8:33)唐松岳 →(9:18)唐松岳頂上山荘(9:35)→(往路を下る)→(13:05)八方池山荘

中央のピークが唐松岳


秋の紅葉を楽しみに北アルプスの唐松岳へ登ってきました。唐松岳は白馬八方尾根に設置されたゴンドラ「アダム」やリフトを利用すると、比較的容易に山頂に立てる山ですが、とはいえ登りだけでも標準時間は4時間を超えます。今回は股関節を痛めている妻との登山なので、たっぷりと時間を掛けて登ることにします。妻は故障のために本格登山から遠ざかっており、久しぶりのチャレンジなので途中リタイアも織り込み済みで臨みます。
 

2011年10月8日(土)1日目

ムーンライト信州「白馬行き」に乗り込みます


生まれて初めて乗車する「快速ムーンライト信州」という夜行列車で白馬駅まで行き、6時発の路線バスで八方バスターミナルへ向い、そこから徒歩10分ほどでゴンドラ乗り場に着きます。

八方バスターミナルからは、白馬三山が望めました。
雪が輝いていて綺麗です。

三連休のためかゴンドラのチケット売場には長蛇の列の登山者が7時半の運行開始を待っています。
今日は雲一つ見えない快晴で、登山道からの眺望が期待されます。

白馬三山 左から白馬鑓ケ岳、杓子岳、白馬岳(しろうまだけ)


ゴンドラの兎平駅に降り立つと、うっすらと雪を被った白馬三山(左から白馬鑓ケ岳、杓子岳、白馬岳)が正面に望めます。昨年の初夏に訪れた時には、霧のために全く見えなかったことを思い出します。

鹿島槍ヶ岳(左)と五竜岳


リフトに乗り継ぐと左手には、五竜岳、鹿島槍ヶ岳が見えてきます。五竜岳はどっしりして風格があり、登行意欲を高めてくれる山です。五竜岳は近年のうちには是非登りたいと思います。
兎平からリフトを2本乗り継ぐと八方池山荘に登りつきます。多くの登山者が出発準備をしています。

登山道は、尾根の直登ルートと巻き道ルートがあり、8時30分、勾配の緩やかな巻き道ルートを登り始めます。
石が敷き詰められた道を歩き始めます。

巻き道ルートは木道が多く、観光客の方々でも登れるように整備されています。
左前方に五竜岳や鹿島鑓ケ岳を見ながらの登りです。

中央の三角が不帰ノ嶮Ⅰ峰、その左がⅡ峰


木道の階段が右にカーブするようになると左手に不帰ノ嶮Ⅰ峰、Ⅱ峰と天狗尾根が頭を覗かせます。
この先少しで直登コースと合流し、第二ケルンに着きます。

白馬三山


第二ケルンのある台地にはトイレが設置されています。この先唐松岳頂上山荘までトイレはありません。
ここからは白馬三山をはじめ、不帰の嶮(Ⅰ峰~Ⅲ峰)や唐松岳も望めます。

左から八方ノ頭、唐松岳、不帰ノ嶮Ⅲ峰、Ⅱ峰、Ⅰ峰


登り始めて45分になるので、少し多めに休むことにします。
妻は途中で何度も立ち止まりながらも何とか股関節の痛みに耐えながら登ってきました。先日、体力測定のために八王子城跡の城山を登りましたが、歩行時間5時間が限界みたいなので、無理はしないことにします。

第二ケルンから蛇紋岩のような滑りやすい石が敷き詰められた道を登り八方ケルンを過ぎるとガレの登りになります。

右側に白馬三山、左側には五竜岳、鹿島槍ヶ岳を眺めながら登ると傾斜が緩み八方池を見下ろす第三ケルンのある台地に着きます。

八方池が見えてきました


ここからも白馬三山をはじめ、天狗尾根や不帰の嶮が目の前に迫っています。青空をバックに素晴らしい景色を堪能します。妻も頑張って登ってきて良かったと喜んでいます。

八方池と白馬三山


第一目標としていた八方池までは登ることができました。ここまで約1時間20分を要しましたが予想以上に早く着きました。この先の丸山まで登ってから下山して温泉宿に泊まるか、唐松岳頂上山荘まで頑張って山頂を目指すか思案です。

もう少し登ってみるという妻の言葉に、立ち休みをしただけで引き続き唐松岳を目指して登り始めます。妻はそれまで使っていたダブルストックを止めると、生き返ったように歩行が自然になりました。使い慣れずにギクシャクしてバランスを崩していたみたいです。

下のカンバのダケカンバの樹間から白馬鑓ヶ岳


第三ケルンから尾根を登っていくと下カンバというダケカンバの樹林帯に着きます。白く折れ曲がったダケカンバの木の間越にみえる白馬三山が一幅の絵のように見えます。

ガレの急坂を登ります

トラバースします

冬道の直登ルートを右に分け巻き道コースをトラバースぎみに登って行くと扇雪渓に出ます。
扇雪渓には、多くの登山者が休憩しています。立ち寄ってみましたが、休まずに登り続けることにします。

扇雪渓を見下ろします


潅木帯の少し急傾斜となった道を登っていくと視界が開け正面に丸山が近づいてきます。

ハイマツ帯を抜けると緩やかになって正面に冬道を分けて右へ回り込むと丸山ケルンに着きます。
この辺りの山腹の紅葉が一番美しいといわれているようですが、今シーズンは夏の猛暑や最近の台風などの影響で外れ年みたいです。

丸山に登りつきます


本来なら真っ赤に染まるナナカマドも既に葉は落ちてしまっています。でも代わって山の景色を思う存分楽しめたので不満はありません。

丸山ケルンの前で


ここでもう一度、登山を続行するか考えているときに私が「山荘には生ビールがあるみたい」と話した途端、妻は躊躇無く唐松岳山荘行きを決めました。
生ビールに釣られたふうに言っていましたが、本音はいつまた見ることができるか知れないこの景観を出来る限り長く味わいたいと思ってのことだと思います。

ここまで登れば、頂上山荘までは1時間10分ほどの距離です。時間的には十分に余裕があるのでユックリ登れます。
尾根道から八方ノ頭を巻くトラバース道を登るようになります。

中央ピークの右が丸山ケルン


丸山から40分ほど登って振り返ると丸山ケルンがかなり小さくなって見えました。

ガレの急坂を登っていきます。
唐松岳頂上山荘までは、もうそんなに遠くないところまで来ていると思います。

所々に先日の降雪が残る岩場がありますが、要所には鎖が張ってあり特に危険なことはありません。
左側の五竜岳が更に大きくなってきました。

細いトラバース道 残雪がありますが危険はありません


トラバース道の傾斜が緩み左側に回り込んでいく先の向こう辺りが山荘のような気がします。
前方の視界が開けると右側に唐松岳頂上山荘の赤い建物が見えてきます。左手は三角の岩峰の牛首が近いです。

13時20分に唐松岳頂上山荘に到着しました。4時間50分の登山を妻は頑張って登りきりました。健全な体であれば何ということもない山だと思いますが、股関節を痛めてる妻には厳しかったことと思います。

唐松岳頂上山荘前で


今日は山頂へは登らず、体調が良ければ明日にチャレンジすることにして、山荘にチェックインしました。
山荘に入って間もなく、霧が立ち込めて視界が無くなってしまい、山頂に向かわなかったことはラッキーでした。

2011年10月9日(日)2日目

昨晩は早く就寝したため、4時には目が覚めました。
流石に日の出前は冷え込んでいて、防寒着を着込みニット帽を被って完全武装をして日の出を見学です。
唐松岳山頂へ向かう方々はアイゼンを履いています。

私たちは小屋前で日の出を待ちます。雲ひとつ無い快晴で遠くまで見渡せます。妻が富士山を見つけました。妻は富士山が大好きで、どこの山へ登ってもまず富士山を見つけます。八ヶ岳連峰、南アルプスの山々も望めます。5時51分、北岳以来の日の出を拝みます。とても綺麗な日の出でした。

1936年池田氏から一帯の山小屋に寄贈された鐘


唐松岳、五竜岳や剱岳、立山連峰なども朝日に輝いています。
食事を済ませてから空身で唐松岳山頂を目指します。

唐松岳へ向かいます


山荘から20分の登りですから焦らずにユックリと登ります。
日影には残雪があります。

唐松岳山頂

目前の五竜岳の全容が見えてくると唐松岳山頂に登りつきます。山頂からは、近くの五竜岳をはじめ、剱岳、立山連峰、槍ヶ岳、穂高連峰などの北アルプスの山々、不帰ノ嶮、天狗尾根から白馬鑓ケ岳、焼山、火打山や妙高山、また遠くには八ヶ岳連峰や富士山まで見渡せます。


五竜岳山頂の右肩後方には槍ヶ岳、穂高連峰も見えます


中央の三角が憧れの剱岳、その左には立山連峰


これだけの山々が望めることは滅多にありません。山頂で暫くこの素晴らしい眺望を眺めることができました。

唐松岳頂上山荘へ下ります


いつまでも眺め続けていたいところですが、風に打たれて体も冷え「コーヒーでも飲もう」ということになり、後ろ髪を引かれる思いで下山することにします。妻も頑張って登って、この景色のプレゼントに大満足みたいです。

小屋に戻り暖かいコーヒーを飲みたかったのですが、朝の片付け仕事で忙しいらしく係りの人の姿が見えないので、諦めて小屋を出ることにしました。

今日は昨日登ってきた道を下山して山麓の温泉宿に泊まるだけなので、時間はタップリあります。9時35分下山開始です。下り始めの岩場の雪も昨日よりは解けて歩きやすくなっています。

オオカミが滑って手を伸ばしているような雪形


昨日は気付かなかった雪形を発見したり、下の樺の白いダケカンバの枝の美しさに感動しながら下っていきます。

昨日よりも確実に登山客が増えていて、狭い道では待つことが多くなります。
今日は昨日よりも雲が多く、景色が少し霞んでいるように見えます。

白馬側の山腹の紅葉が昨日より綺麗に見えるのは気持ちのゆとりからでしょうか。

昨日立ち寄らなかった八方池の湖畔に降りるつもりでいましたが、余りに多くの人で混雑しているので休まず歩き続けてしまいます。

八方池からは、家族連れの観光客の姿も増え、大名行列の歩きに耐えながら下っていきます。
13時過ぎに八方池山荘に着きましたが、リフト乗り場には長い行列が出来ていました。

昼食は兎平まで我慢することにして、リフトに乗り込みます。黒菱平付近の紅葉が綺麗になりかけていました。

久しぶりに妻と歩いた、とても満足いく山行になりました。