開 聞 岳
924m 鹿児島県
2合目登山口(6:07)→(6:20)2.5合目 →(6:25)3合目 →(6:50)5合目(7:15)→(7:20)6合目 →(8:07)仙人洞 →(8:13)8合目 →(8:40)ハシゴ →(8:50)山頂(9:20)→(10:55)2合目登山口
【歩行時間:3時間53分】
ご近所の九州出身の友人が里帰りするというので、それに便乗して地元の案内をお願いするかたわら、併せて山登りをしようということになり、開聞岳と霧島山に出かけることになりました。どちらもお手軽な山みたいなので特別な装備も要らないと思うのですが、登山靴だけは持っていくことにしました。
『かいもん山麓ふれあい公園』のバンガローに宿泊した私達は、予定通り午前5時に起床して出発の準備を始めます。
昨晩、バーベキューをオネダリにきていたノラ猫が、火種が点いて暖かいコンロの周りで寛いでいます。旅仲間のコウちゃんとショッさんは就寝中なので、音を立てないように出発準備をします。妻も黙々と準備をしています。昨日買っておいたおむすび2個を食べて風邪薬を飲み終わったところで、ショッさんが起きだしました。物音で起こしてしまったようです。とにかく早くバンガローを出ようと、靴を突っかけたまま外へ出ます。5時25分でした。
管理棟前の自動販売機の灯りの前で登山靴の紐を締め、出発の最終チェックをします。
昨日からの鼻風邪で鼻水が止め処なく流れてきます。調子が今一上がりません。朝が明けきらない中を登山口に向かいます。
登山口へは道標も無く、一度間違えましたが、何とかたどり着き記録写真を撮ります。妻は目が覚めきらないのとお化粧前との相乗効果で素晴らしい顔を見せています。登り始めは、林の中の緩やかな土と落ち葉の歩きやすい道です。
念のために点けていたヘッドランプもあまり活躍しないうちに空が白み始めました。木々の間から太陽が昇ってくるのが見えます。この登山道は、1合目毎に道標が立っていて、自分の現在位置がとても分かりやすいです。妻の先導で進みますが、私は風邪のせいか直ぐにバテてしまいます。
3合目からは小石混じりの道になりますが、歩きにくいということはありません。所々に木製の階段が現れます。とても良く整備された道です。妻が朝食におむすびを食されるとのことなので5合目で大休止することにします。
周辺もかなり明るくなって、空気も変わったような気がします。確か、植物は常に呼吸をしていて、昼は光合成をして二酸化炭素より酸素の方を多く放出するので、酸素が豊富になると聞いたことがあります。気のせいか、暗いところよりも明るいところの方が、息が楽なように感じるのはそのせいでしょうか?などと知ったかぶりの会話を妻と交わします。
6合目を過ぎ7合目付近から岩場が混ざり、展望も良くなってきます。長崎鼻方面の海面がキラキラ輝いてきれいです。朝霞みで長崎鼻がぼんやりと霞んで見えます。眼下に海抜ゼロメートルの海面を見るのは、山登りでは始めての体験です。結構高度感もあります。
7合目を過ぎたところに「仙人洞」という洞窟があります。この洞窟は開聞岳が噴火したときにできたもので、その後、山伏たちの修行の場として利用されたことから仙人洞と名づけられたそうです。
今では「千人洞」ともいい、この地まで登って来た登山者が使った杖をこの洞窟に投げ入れて登山の安全を祈願するようになったそうです。確かにたくさんの枝が投げ入れられていました。
更に岩場混じりの小さなアップダウンの道を進み、8合目になると太陽と反対側に回り込むようになり、灌木帯の中は薄暗く未だ夜明前の様相です。空気も気のせいか違う感じがします。
山頂直下の岩場を先行した妻が梯子を使って登ります。
踏面が狭く登りにくいとのことなので、私はロープを使って岩場を登りましが見た目ほどのことはありませんでした。
山頂直下は風が強く、帽子も飛ばされそうで、汗をかいた体が冷えてきます。岩と灌木の間を抜けると山頂に飛び出します。山頂には誰も居ません。
妻と二人きりで開聞岳を占領します。そういえば、今日は未だ誰にも会っていません。山頂は、周囲に遮るものがなく視界は360度と期待していましたが、遠くは霞んで見えません。
ここからの霧島山や屋久島の眺望を一番の楽しみにしていたのにとても残念です。山では晴れていても視界が利かないことは良くありますが、よりによって遠路鹿児島まで来てこれでは、神様に意地悪されているみたいです。また来いということでしょうか?
妻は携帯でショッさんと下山時刻の連絡を取っています。眺望も利かないし、麓でコウちゃんやショッさんも待っているし、風も強いので岩陰でみかんを食べて、早々に下山することにしました。
下山は、来た道を戻る以外にありません。昨晩泊まった『かいもん山麓ふれあい公園』が眼下に見えます。
妻の下りのスピードは相変わらずの速さです。カブスカウトのスカウト達と同じ行動パターンです。どちらが似たのかは知りませんが思わず一人笑いをします。
途中で女性一人、男性一人、男性三人組、ご夫婦などの登山者とすれ違いました。皆さん「もう登ってきたの?」と驚かれている様子でした。
京都から来られた単独行の方を妻は「独身で寂しい人生を送っている」などと決めつけていました。
上品なご夫婦と会えば、自分らもあんなふうになれたらいいねと戒めます。
山登りという共通の趣味を通じて、人それぞれの人間模様を垣間見るような思いがした山行でした。
2合目登山口であらためて記念撮影をして、コウちゃん、ショッさんを捜します。妻が携帯で連絡を取るとと、グラススキー場の近くに居るそうなのでそちらに向かいます。
スキー場脇の道端には、桜が狂い咲きしています。ハイビスカスも咲いていて、南国であることを実感します。
コウちゃん、ショッさんと合流後、ふれあい公園中央管理棟にて山バッジを買い求め、登山証明書をいただき、フィリピン島戦没者慰霊碑のある花瀬望比公園へ案内してもらうことになりました。
この公園から見る開聞岳もまた素晴らしい円錐形をしていました。