木曽駒ケ岳
2,956m 長野県
千畳敷(7:30)→(7:45)休憩(7:55)→(8:18)乗越浄土(8:30)→(8:47)中岳山頂通過 →(8:55)頂上小屋横(9:00)→(9:17)木曽駒ケ岳(9:45)→(10:07)頂上小屋(10:17)→(10:40)乗越浄土(10:55)→(11:27)休憩(11:32)→(11:42)千畳敷
【歩行時間 2時間47分】
菅の台バスターミナルから
木曽駒ヶ岳の登山ツアーに参加しました。
木曽駒ヶ岳は、6年前の紅葉の時期に妻と千畳敷を訪れたことがあり、ロープウェーで急に登ったため軽い高山病にかかった妻が敬遠してきた山です。ここ数年で立山、御嶽山や乗鞍岳などの3000m級の山に挑戦して少し自信が付き今回のツアー参加となりました。
夜行バスで菅の台まで行き、伊那バスに乗り継ぎます。菅の台のバス停には早朝にもかかわらず、多勢の登山客がバスの始発を待っています。紅葉の時期の土曜日ということも理由でしょうが、人気のある山なのだと思います。団体の特典で私たちともう一つの団体は、一般客より優先して6時10分発の一番の団体専用便に乗車することができました。
伊那バスはカーブの多い山道をロープウェー乗場の「しらび平」まで約30分で着きます。
千畳敷カール
しらび平ではタクシーで来た方が数人居るだけで一番乗りです。今年は夏が異常に暑かったためか、紅葉が遅れているみたいです。
ロープウェーは約5分で標高差950m、標高2611.5mまで一気に運んでくれます。これが高所の空気に慣れない人が高山病になる原因です。
千畳敷は風があり長袖Tシャツだけでは寒いので、薄いダウンと山シャツを着込みます。
中央は甲斐駒ヶ岳
南アルプスの山々が朝日を浴びてシルエットとなって見えます。千畳敷カールの上方に宝剣岳が聳え立っています。二度目のためか初回ほどの驚きはありませんでした。カールの右寄りに電光形の登山道が付いているのが確認できます。
添乗員のO氏からガイドさんの紹介や注意事項などの案内の後、5つの班に分かれて行動します。私たち5人はA班で最初はガイドさんと先頭を歩き始めます。
千畳敷カールの底に付けられた登山道は、観光客向けの遊歩道となっているため丁寧に岩を敷き詰めて歩きやすく整備してあります。遊歩道を離れていよいよ登山開始です。空気が薄いためか苦しいほどではないのですが、深呼吸をしても酸素が取り込めていないような感じがします。出発前にガイドさんが「ゆっくり行きますから」と言っていたとおりのペースで歩いてくれて助かります。
スタートして15分ほどで1回目の休憩となりました。登山道を見上げると今までよりも傾斜が急になるようです。しかし稜線の乗越浄土まで目測で30分くらいだと思うので楽勝だと自分に言い聞かせます。今回は妻も高山病にはなっていないようです。
岩場の急斜面ですが階段状に整備されていて登り易いです。後方から甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳、塩見岳などの南アルプスの山々が勢揃いしてずっとこちらを見ています。
乗越浄土にて
一登りで広い稜線の乗越浄土に着き休憩となりました。沢山の登山者が一服しています。ここからは御嶽山、北アルプスや八ヶ岳連峰も顔を見せ始めます。宝剣岳が眼前に迫っています。
登山道を目で辿ると登りたい気持ちが高まります。今日はツアーなので自分勝手は許されません。
遠くに八ヶ岳
宝剣岳への稜線
諦めてこれから向かう道に目をやると、赤い屋根の天狗荘の先に緩やかに登った先に丸い中岳(2926m)が見えます。中岳の岩の斜面の白色とハイマツの緑色のコントラストがとても綺麗です。ここから木曽駒ヶ岳は未だ見ることができません。
乗越浄土を出て宝剣山荘でトイレに立ち寄り、山荘を過ぎてから中岳の登りです。
中岳への稜線
中岳山頂には柱状節理の大きな岩の固まりが斜めに立っています。木曽駒ヶ岳が正面に姿を現しました。山麓からは見ることがなかった山で初めて全貌を見ることができました。ガイドブックの写真で見たとおり穏やかなお椀を伏せたような山です。
後方に木曽駒が岳
木曽駒が岳の直下
中岳から鞍部まで下り登り返して木曽駒ヶ岳の山頂に着きます。山頂は広くて360度の眺望です。近くに宝剣岳、その右側に三ノ沢岳、その間の稜線の先には空木岳が見えます。更に右に目を転じると昨年に登った御嶽、今年登って2度目の乗鞍岳。更に北アルプスの笠が岳、穂高連峰や槍ヶ岳、蓼科山から赤岳などの八ヶ岳連峰、南アルプスの山々と日本の主たる山が勢ぞろいしています。
左から空木岳・赤椰岳・南駒ケ岳・手前に熊沢岳
木曽の御嶽
乗鞍岳
穂高連峰・槍ヶ岳
日本の屋根の中央に位置する中央アルプスならでは、これだけの山群を見ることができるのでしょう。惜しいことに妻の大好きな富士山は、雲に巻かれた姿しか見えません。私はこれだけの眺望が得られれば大満足です。思わず何枚も写真に収めました。(帰宅後、作品を見てガッカリしましたが…)山頂には石の祠や小さな売店があります。売店で山バッジを買おうと思いましたが、撮影に夢中で忘れてしまいました。
中岳・宝剣岳の後方に南アルプス
予定よりも早く山頂に到着したため、下山してから食事を摂ることに変更となり、山頂での滞在時間は短縮されてしまいました。ツアーの辛いところです。このまま往路を下山すると思っていたら、東方面の稜線(馬の背)を回りこんで下ることになり少し嬉しくなりました。僅かな道草でしたが北アルプスを見る角度が変わったことで槍ヶ岳の穂先がハッキリと確認することができました。
馬の背の稜線 正面には八ヶ岳連峰
頂上山荘でトイレ休憩の後、息を弾ませて中岳へ登り返し、宝剣山荘で休憩するというように休む回数が多くて疲れません。
乗越浄土から岩場の急坂を下り、無事に千畳敷カールの底に着きました。このあたりから観光客と遊歩道を共用することになり混雑します。ふと何処かで見た顔だと思ったら勤務先の先輩のご夫妻でした。お互いにこんな所で会うなんて思ってもいませんでしたが世間は狭いものです。
馬の背から中岳へ向かう
池の辺でお弁当を広げながら、今年最後の紅葉の千畳敷カールを目に焼き付けます。
妻も6年前の高山病にかかった時とは大違いの笑顔で登山を終えることができました。ヨカッタ。ヨカッタ。
下りのロープウェーでは、上りで見ることができなかった紅葉の中の滝を写真に収めました。
しらび平からのバスも団体専用1台を貸切でした。菅の台からツアーバスに乗り換え早太郎温泉「こまくさの湯」で入浴後、帰宅の途につきました。
6年前のリベンジを果たせた満足のツアーでした。
伊那バスの運転手さんがバスを止めて見せてくれたニホンカモシカ
ロープウェーを利用した楽チンな登山でしたが、このロープウェーの開業のおかげで観光客が増えて地域が観光で潤うようになった一方で、その観光客のし尿処理が追いつかず、地元の方々が飲料用水として使用している周辺の河川を汚染するという問題が生じているというお話しを伺い、私達の行楽が地元の方々の犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならないと思わずにはいられませんでした。