蓼 科 山

2,530m  長野県

2006年6月14日(水)  晴れ
【メンバー】 妻 & 私

7合目登山口(10:33)→(11:22)天狗の露地 →(11:40)休憩(11:50)→(12:02)将軍平(12:35)→(13:02)蓼科ヒュッテ →(13:09)山頂(13:47)→(14:37)天狗の露地 →(14:07)7合目登山口

【歩行時間 3時間13分】

アルバムを整理していて北横岳へ登った旅行の時に翌年には蓼科山へ登ろうと言っておきながらなかなか実現しないでいたことを思い出し、また、先週に会社の仲間と行った丹沢表尾根を体調不良で途中下山したことなども重なり「ここは初心に帰らねば」と思い蓼科山へ行くことを衝動的に決めました。
登山のスタートが八ヶ岳方面だったので、そこに何かの救いを求めたのかもしれません。

7合目登山口駐車場

いつものように一人で行くつもりで蓼科山へ登りにいくことを話すと、妻も蓼科山なら行きたいと言い出し、久しぶりの夫婦登山となりました。
妻は10日ほど前にもボーイスカウトのキャンプの下見のために八ヶ岳前衛峰の編笠山に登っており八ヶ岳づいています。
朝6時に自宅からマイカーで出発し、八王子インターから中央高速道の諏訪インターで降り、大門街道で白樺湖、女神湖を経由して夢の平林道を7合目登山口へ向かいます。

談合坂SAと八ヶ岳PAで休憩、茅野のコンビニで昼食の調達をし、予定通り10時25分に7合目登山口に到着しました。登山口には10数台は停まれる駐車スペースとトイレがあり、どういう訳か東屋があります。

平日だというのに既に駐車スペースには6台ほどの車が停まっていて、やはり人気がある山だということを実感します。出発の仕度をしている間にも、若者4人組が到着しました。

今日は、横浜地方は天候があまり良くないとの予報でしたが、長野県茅野地方は雲や靄がかかっていますが晴れています。夫婦登山の時はどういう巡り合わせか天候には恵まれます。(先週の丹沢表尾根は一時雷雨でした)

登山口の鳥居をくぐり、熊笹が下草のカラマツ林の中の緩やかな道を歩き始めます。
登山道には土が流れるのを防ぐために石が埋められていて少々歩きにくいです。

先週の挫折感が残っていて、今日はユックリであっても長く歩き続けることをテーマにして登り始めます。樹林帯を進むと「天狗の露地」という道標がありました。今日始めて見つけた道標です。

天狗の露地の眺望


右手の開けた方に行ってみると、そこは展望が開けていて女神湖や車山方面が一望できます。残念ながら北アルプス方面は霞んでいてはっきり見えませんが、ぼんやりと雪山があることは確認できました。

ダケカンバの樹皮…本当に鉋屑のようです


シラビソの林を抜けて少し開けた涸れた沢のようなところに出ます。
誰からの受け売りかは知りませんが、妻からダケカンバの樹皮は鉋屑のように剥がれるので焚き木に使うものだと聞かされました。

立ち話をしていると、駐車場に到着した大学生風の例の4人組が元気に登ってきました。赤シャツを着た男性がリーダーのようで先頭を切って登っていきます。
若い人はいいね~と妻から本音が出ます。若いときから山登りをしていればよかったとつくづく思います。

このあたりから石がごろごろする急な登りになります。振り返ると樹の切れ間から丸山方面に雲がどんどん湧いているのが見えます。天候が悪化しないことを祈ります。
石ごろの道を少し登ったところで小休止します。

小腹が空いたので一口サイズのクリームパンを一つずつ食べたら食欲を刺激して後を引くことになりましたが、蓼科山荘がある将軍平まで我慢することにします。
休憩中に何人かの下山者と挨拶を交わします。皆さん何故かニコニコしています。

蓼科山荘まであと何分かかるか妻に尋ねられ、どのくらい登っているのか見当がつかなかったので30分くらいだと適当に答えました。
休憩場所は既に将軍平の近くだったとみえて10分ほどで蓼科山荘に到着しました。

将軍平からの蓼科山


平らは小広く開けていますが、蓼科山が目前に見える他には周囲の樹木が成長していて展望はありません。
ここは大河原峠方面からの登山道との合流点になっています。

遅咲きのヤマザクラ

山荘はシーズン中や週末の営業のようで人の気配はありません。ベンチに陣取って中食にしていると、20歳代の成年が大河原峠方面から登ってきて、桜の花を見つけると近づいていって写真を撮っています。
誰かに転送するのか携帯電話のカメラでも写していました。

中食も終わりゆっくりしていると「ねむのきペンション」のオーナー斉藤登美夫氏と新宿からの女性3人のグループが到着し、私たちの隣のテーブルに腰掛けました。
妻はいつのも調子で直ぐに話しかけます。
齋藤さんは、大河原峠からのルートはお花畑があり一番楽に登れることや、お勧めの温泉、これまでのガイドでの体験談などを話してくださり、短い時間でしたが楽しい時間を過ごさせていただきました。

時間の都合もあり斉藤さんたちに別れを告げ先に出発します。ここからは大きな岩が重なる登りになります。
妻に言わせると編笠山ではもっと大きな岩の間を登ったそうです。その時の嫌な記憶が甦ったのかペースが格段に落ちます。
私にとってはアスレチックみたいで岩登りは楽しいのですが妻は苦手のようです。

岩場の登り

少し先行してしまったと思い振り向くと初老の男性と何やら話をしています。いつものことですが妻は見ず知らずの人によく声を掛けられるようです。
後で聞いたところによると、神奈川県の大磯にお住まいのご夫婦で、大磯地方の曇天の下に居ても楽しくないし、ネットで調べたら長野県地方は晴れているからと、今朝思い立って長野新幹線で来られたとのことでした。

残雪の向こうに北横岳と八ヶ岳

とても行動力のある、また元気のあるご主人で、すいすいと岩場を追い越していきました。
「編笠山で見たのでここでも雪が残っているかも」と妻が言っていたとおり、山頂近くには残雪がありました。雪に乗ってみたい衝動に駆られましたが、シャーベット状の急斜面で滑落しそうなので思い止まりました。

登りで抜かれた青年とすれ違いざまに「もう降りるの?」と言うとニコリと会釈して下っていきました。
直ぐに小奇麗な外観の蓼科山頂ヒュッテに着きます。
小屋を覗いていると中からお嬢さんが「いらっしゃいませ」と声を掛けてきましたが、後で寄ることを告げて山頂へ向かいます。

山頂ヒュッテのトイレ(200円頂戴します)


別棟にトイレがあり使用料は200円です。ここはもう山頂の一角で100mほど先に人の塊が見えそこが山頂だと分かります。

山頂が見えます


北横岳や八ヶ岳連峰を左手に眺めながら、ごろごろした岩の間を行くと山頂に着きます。
確かにガイドブックにあったように「校庭に岩を撒き散らしたような山頂」です。

山麓から見る端正な形からは想像できない初めてお目にかかる山頂の姿です。祠がある中央が少し窪んでいて噴火口のように感じました。
先ほどお会いした大磯のご主人に記念撮影をしていただき、校庭みたいとはいっても走ることはできませんが、祠の脇を通って南端まで行ってみます。

ここには方位盤が設置されています。
傍には、例の学生風4人組が休憩しています。何やらアクシデントが起きて相談しているようでしたが、オヤジのお節介になっても嫌なので声は掛けないことにします。
ここからは、八ヶ岳連峰が一望できます。南、中央、北アルプスは残念ながら雲に隠れていますが、空気が澄んだ季節には360度のパノラマが望めそうです。
南側から吹く冷たい風が体を冷します。長居すると冷え切ってしまうので山頂ヒュッテに戻ることにします。
ヒュッテのテラスでは8人ほどのグループが天婦羅うどんの昼食をとっています。晴れてはいますが温かいものが美味しく感じる気候です。

店先には素敵な「熊除け鈴」や「百名山のれん」などの記念品が並べられていましたが、山バッジだけ買って下山することにします。
ふと傍らを見ると、さっき下って行った単独登山者と思っていた青年が母親らしき方と並んで腰掛けています。後で「この青年は母親から先に行ってと言われ山頂に着いたけど、母親を迎えに一旦下ってまた登ったのだよ。親思いの良い青年だね。」と妻と勝手に想像して納得しました。心が洗われたような清々しい気持ちで往路を下山しました。

今日、4回目となる大学生風4人組が休憩している蓼科山荘を横目に休まずに下ります。
7合目登山口には標準時刻よりやや早めに到着することができました。あまり疲労感も無く山登りの再出発には調度良い山行だったように思います。
息子の夕食が気掛かりという妻の言葉で、斉藤さんから伺った温泉にも立ち寄らず一目散で横浜へ帰ることにします。とは言っても、お約束の「おぎのや」に立ち寄ったことは言うまでもありませんが。

登山口に到着 お疲れ様でした

蓼科山頂ヒュッテの山バッジ