四 阿 山あずまやさん

2,354m  長野県・群馬県
2007年6月26日の登頂は ココ

2006年8月14日(月)  曇り
【メンバー】 単独

パルコール嬬恋ゴンドラ乗り場(7:40)…【パルキャビン】…→(7:55)山頂駅(8:00)→(8:33)第1休憩所(8:38)→(9:00)茨木山(9:11)→(9:29)四阿山頂(9:44)→(10:32)山頂駅(10:39)…【パルキャビン】…(10:54)パルコール嬬恋ゴンドラ乗り場

【行動時間 3時間14分】

「四阿山」を「あずまやさん」と読める人は、相当の山に詳しい人か日本百名山の信仰者ではないでしょうか?四阿山麓の鳥居峠でお会いした地元田代にお住まいのご老人も「普通の人は読めないね~。どう見ても“しあさん”としか読めないよ。昔はよく登ったものだ」と言われるとおり難読の山です。
他にも日本百名山には北海道の山は別にして「皇海山(すかいさん)」「武尊山(ほたかやま)」などの難読の山があります。四阿山の名前の由来は山麓から見ると山頂が建物の東屋に見えるからだとのことです。

上田市内の健康ランドを後に、昨日草津白根山から上田市街に向けて走行した国道144号線を反対方向に万座方面に進み、田代から「つまごいパノラマライン」に入りバラキ高原の「パルコール嬬恋」へ向かいます。
パノラマラインから望む四阿山一帯は霧に包まれていてその姿を確認することはできません。
内心では谷川岳の時のように劇的に晴れることを期待しているのですが…

私の山登りの「様々な交通手段を使ってできる限り山頂に近づいて楽に登る」という信念のもと、今回もゴンドラを利用したお手軽コースを選びました。当初はメインコースである菅平高原~根子岳~四阿山~小四阿山~菅平高原を歩く予定でしたが、上田まで同行してきた息子(大学生)が、登らないで上田市内で待機することになり、午前中だけという時間の制約がある山登りとなりました。

誰も居ない山頂駅

パルコール嬬恋の入口のゲートをくぐるときに、看板にゴンドラの運行は8時分からとの表示を見つけ、少し早すぎたと思いつつ駐車場に向かいます。予想以上に立派な施設であるのに驚きました。ゴンドラは動いていましたが、試運転であると思い込み、ゴンドラ乗り場に近いところに駐車します。運行開始まで40分以上はあるのでゆっくり準備し、乗り場の様子を見に行ったところ、お盆時期のため特別に7時から運行しているとのことでした。慌てて車に帰りザックを背負い乗り場に引き返します。

下調べが悪かったことと自分の思い込みを反省します。駐車場に10台くらい駐車していた人たちは、既に乗って行ったようでゴンドラに乗るのは私一人だけです。ゴンドラの中からの景色も期待していたのですが、霧に包まれて視界が利きません。全く谷川岳の時と同じシチュエーションです。
ゴンドラ山頂駅に着くとゴンドラの係員が一人居るだけで、周りには全く人の気配がありません。ハイキングコースの案内パンフレットをいただき、駅舎から外へ出てみます。誰一人居ません。霧に包まれて気後れする気持ちを吹っ切って、出発することにします。

私を迷わせた道標

登山道まではハコハハコ?が一面に咲くゲレンデ内の遊歩道を歩きます。 道標はしっかり整備されていて迷うことはありません。と思っていましたが、「←四阿山近道・↑登山道」という道標が現れ、どちらに行くか迷った挙句、登山道を選びました。近道の行方を見やるとゲレンデ内を歩くような道だったのでつまらないと思いやめたのです。登山道を進むとそこは露の付いた下草の熊笹がズボンを濡らしてくれる狭い道でした。右に曲がり左に曲がり蛇行を繰り返して出た先はゲレンデ脇の広場でした。

ゲレンデ内を歩けば直線で約200mの距離を苦労する方を選んで損したと悔しい思いです。この先も下草に濡らされると思い雨具の下は着けて歩くことにします。シラビソが混ざる樹林帯の平坦な山道を歩きます。今日の標高差は僅か300mなのでこの程度のアップダウンなのかもしれません。僅かに風が出てきて霧を流していますが、晴れる気配はありません。誰一人として会いません。聞こえるのは鶯の声と風が木々を揺らすざわめきだけです。高山植物も見掛けないし、眺望もないし、ただひたすら歩くだけです。第1休憩所の看板が立つ小広場で立ち休みをします。

この先に階段の登りがあります。今日歩いている中で初めての登りらしい登りです。一気に階段の最後まで登りきると鼓動が高鳴ります。立ち止まって深呼吸をしてまた歩き始めます。少し進むと「←四阿山2km」という新しい道標に「ウソ」と落書きされているのを見つけました。心無い登山者のいたずらかと思いましたが、後で分かりますが歩いてみると確かに2kmは無さそうです。道標は正確にして欲しいと思います。

「パルコール台」という広場に出ます。霧がなければ眺望がよいところなのかもしれません。ここは分岐点になっていて左の道を行くと茨木山です。少し休憩することにします。ザックを下ろして大きな伸びをします。好物のミニピーナッツパンを1つ食べます。お腹が空いていたわけでもないのですが、することがないのでもう1つ食べます。

茨木山への道を左に分け、右の木の階段を登ります。後方に人の気配を感じて振り返るとパルコール台に男性が一人到着したところでした。今日始めての出会いです。距離があったので挨拶もしませんでしたが、何か心強くなります。ここから先には岩場がありますが、鎖やロープが付いていて、きちんと整備されていて特に危険な箇所はありません。

痩せ尾根を渡り最後の岩場の急坂で山頂に着きます。山頂には祠と山名標柱が立っています。12~3人の登山者が食事をしたり休憩したりしていますが、私が腰掛ける余地もないような広さです。周囲は霧で視界はありません。遮るものは何もないようなので360度の展望が期待できそうです。風も出てきて、所々に霧の切れ間もできてきたので1時間後くらいには晴れるかもしれません。霧が晴れるまで暫く待ってみるという登山者も居ましたが、私は、下界に息子を待たせているので、15分ほど休憩して下山に取り掛かることにします。

先行して山頂を出発した4人組を追い抜き、小走りでゴンドラ乗り場へ引き返します。休むことなくひたすら歩きます。登ってくるグループともすれ違うことがあります。人に会わなかったのは時間が早すぎたのかもしれません。ダブルストックのご老人と小学校3年生くらいのお孫さんの二人パーティとすれ違います。やや足元が不安なご老人は見るからに山の経験者のようで、山の魅力をお孫さんに教えようと連れてきたのだと勝手な想像をします。自分にも経験できる時が来るのかなあ~。
早足で下ったため、山頂から約50分でゴンドラ山頂駅に着きました。

山頂駅にはたくさんの観光客が花を観賞したりして散策しています。いつ見ても家族連れは和やかな雰囲気があっていいものだと思います。 ゴンドラに乗り込み、四阿山山頂の霧が晴れるのを眺めていましたが、山頂の部分だけは最後まで晴れることはありませんでした。パルコール嬬恋のホテルの売店で山バッジを購入し、一路、息子が待つ上田市街へ向けて車を走らせます。

実は一路というのは事実に反していて、途中の「渋沢温泉」にカラスの行水をしに15分ほど寄り道をしました。建物も新しく入浴料300円は割安だと思います。館内のお食事処は満席に近い状態で知る人ぞ知る人気なのかもしれません。受付のお婆さんがとても感じの良い方でした。
四阿山のゴンドラ利用の本コースは初心者でも十分に歩けると思います。私と同じ町内に住む登山を始めたいという知人を連れて是非再来したいと思います。