巻 機 山
1,967m 新潟県 群馬県
桜坂駐車場(6:00)→(6:58)五合目(7:04)→(7:40)六合目(7:45)→(8:16)七合目(8:26)→(8:52)八合目 →(9:07)ニセ巻機山 →(9:19)避難小屋(9:30)→(9:56)巻機山標柱(10:03)→(10:25)牛ケ岳(10:27)→(10:31)裏巻機山登山道下山口(10:34)→(11:03)巻機山(11:57)→(12:42)七合目(12:45)→(14:15)桜坂駐車場
【歩行時間 8時間15分】
新潟県は妻の親戚が住み小出町や六日町には30年くらい前から来る機会が多く馴染みのある地域です。巻機山も何度も見てはいたのですが登山に興味が無く、お酒の名前になっている「八海山」くらいしか知らないで20年くらいを過ごしてきました。その後山登りを始めて日本百名山なるものと出会い「巻機山」の存在を知ることになります。越後の山はどれも山深く登山時間も長いことから、体力的に難しいと思い後回しにしてきましたが、以前より山慣れしてきたのでチャレンジすることにしました。
越後湯沢方面の定宿にしている温泉センターを出て、国道7号線沿いのコンビニで朝食と昼食を買い、外は未だ暗くて早過ぎるかもしれませんが、巻機山登山口の桜坂駐車場へ向かいます。
石打IC方面に右折して塩沢大和線の田園風景の中を走ると、闇が白み始め右手に巻機山のシルエットが見えてきました。写真を撮ってみましたが露出不足で真っ黒でした。突き当たりの信号を右折して国道291号線を清水の集落へ向かいます。
巻機山へは数年前に登山口の桜坂駐車場まで下見に来たことがあるのでスイスイ走れます。清水の集落の入口で左の分かれ道に入り少し先で左折し道標に従って集落の中を上って行きます。桜坂駐車場に近づくと道端に駐車する県外の自家用車が目立ってきます。終点の駐車場は既に満車なのでしょうか?桜坂駐車場に着くとそこは既に満車状態で多勢の登山者が出発準備をしています。
駐車場内に入りターンしようと周りを見回すと仕切り線外ですがスペースがあり、パトロール員の方の了解を得て停めさせていただきました。ラッキー!
日曜日なので多少混雑することは覚悟していましたが、駐車場から車が溢れるほどとは予想もしませんでした。宿舎を出るときに早過ぎるかと思っていましたが遅いくらいでした。 準備を整え井戸尾根コースを登ることにします。
このコースの往復の所要時間は昭文社の登山地図によると登り5時間20分、下り3時間25分なので、私にとっては厳しい登山です。登山口を6時ジャストに出発しました。登山口から50mくらい先で右への分岐へ入り、更に右へカーブした先を右に入って行きます。潅木やダケカンバの中の赤土の滑りやすい道を「歩幅を狭く」を意識して歩きます。巻機山も何合目かの表示があるようです。
最初の休憩ポイントは五合目に決めています。登山地図では登山口から1時間30分の所要時間です。昨日の男体山登山の筋肉痛が太股に少し出ましたが、動くとその痛みが心地良く感じられる程度です。直ぐに後方から来た男女4人グループと小学生二人を連れた四人家族に追いつかれ道を譲ります。今日はたっぷり時間を掛けて登ることにして、確実に歩ききることを目標にしています。
ペースが同じくらいなので、しばらくは抜かれた四人家族の後ろを歩くことになりました。
黙々と登り続けると話し声が聞こえ、視界が開け五合目の井戸尾根に出ます。ここまでは地図の所用時間より30分早く着きました。さほど広くないところに数人が休憩しています。風が強く肌寒いくらいです。霜が降りたようで沢筋が白く見えます。何人かが出発し、後続の何人かが到着するという状態で、いつまでも空くことがありません。水分補給を済ませ5分ほどで五合目を出発します。
次のポイント「六合目の展望台」までは所要1時間10分の予定です。ここまでの登山道は傾斜も緩く土の滑りを除けば歩きやすいと思います。潅木帯の中は眺望も無く、花のシーズンも終わって何も楽しみが無くひたすら歩くだけです。忍耐。
少し騒がしくなったと思ったら六合目の展望台に着きました。予定より34分も早いです。女性の「早く着いたね~。七掛けで着けるかも(笑)」との声が聞こえます。私と同じようなことを考えています。
ここからは天狗岩が望めます。
ガイドブックの写真でも形がはっきり写っていませんでしたが、確かに背景に溶け込んで輪郭が分かりにくい岩です。フットボールの半分を山の斜面に垂直に押し付けたような形の岩です。
その付け根を遡上するヌクビ沢コースを探してみましたが、どこを歩くかは分かりませんでした。
六合目展望台からも相変わらず潅木帯の登りです。それでも沢山の登山者を見ながら登れるので少しは気が紛れます。一人ではこの道は変化が無くて辛いかもしれません。
パッと視界が開けると広いガレ場(七合目)に飛び出します。目の前の山の斜面は少し紅葉が始まっています。
森林限界に達しているようで、振り返ると波が押し寄せるように山々が幾重にも重なって見えます。ピラミダルな山やどっしりした山などそれぞれが個性を主張しています。勉強不足で山の名前が分からないのが残念です。山々を眺めながら少しぼんやりすることにします。 例の四人家族も休んでいます。少し長めの休息を取り再び出発します。
ここから八合目までは熊笹が多い道を登ります。
八合目を過ぎるとガレ場に付けられたかなりの段数の階段の登りになりますが、高さと踏み面のバランスが良くとても登りやすく作られています。
登っているうちに何時も息せき切って登るホームグランドの丹沢大倉尾根花立の階段を思い出しました。それに比べると楽に登れる感じです。
階段を登り終えて稜線に出ると正面に巻機山だと思われる山が牛のように横たわっています。
どこが山頂だかわかりません。左の三角は割引岳でしょう。振り向くと山々が押し寄せる波のように重なり合っています。稜線の木道を進むと直ぐに「にせ巻機」に着きます。
標柱に「九合目」「にせ巻機」とあります。男性二人が座っていましたが、登山者の多くは周りを見回して直ぐに行ってしまいます。
ここがピークだと思わせる雰囲気を持っているのですが可愛そうな命名です。私も「にせ巻機」では休まずに鞍部にある避難小屋まで行ってしまいます。
避難小屋までは木道を下ります。
右前方には巻機山への登り返しを蟻の行列のように登る登山者が見えます。避難小屋周辺は満員状態です。良く見ると時々私もお世話になる「クラブT」の登山ツアーの御一行でした。
その御一行が出発すると小屋周辺に静寂が戻りました。ベンチに腰掛けてクラブTの皆さんが登って行くのを眺めていました。
これを登りきればとりあえず巻機山の山頂を踏むことはできます。所要時間は大幅に短縮できているので、最高峰の牛ケ岳へも行けそうです。もしかしたら割引岳もと考えています。
気合を入れなおして最後の登りに掛かります。丸太で土留めされた階段を穏やかに登っていきます。少し息が荒くなりましたが、思っていたより楽に稜線に登りつきました。
ここは広場になっていて沢山の登山者が寛いでいます。記念撮影をしている登山者の方を見ると巻機山山頂の標柱が見えます。
まさか?と思い近づいてみると間違いありません。クラブTの皆さんも居ます。ザックから登山地図(07年度版)を出して位置を確認しますが、やはりここが山頂ではなさそうです。
ピーク(1937m)までは稜線から右に10分の表示があります。登山者に植生が荒らされたので暫定的にここを山頂にしたのではないかと勝手に想像し、私も山頂のつもりでここから見える八海山、越後駒ヶ岳や中ノ岳の展望を楽しんでから、地図上の山頂へ向かいます。
ハイマツ帯の稜線の木道を4分ほどで数人の方が休んでいるピークに着きました。
周囲を見回すと一番高いところには入れないようにロープが張られています。予想通りでした。ここにあれだけの登山者が集結したら、植物たちがアッという間に荒らされてしまうと思います。
そんな風に思いながら牛ケ岳(1961.6m)へ向かいます。
牛ケ岳へは草原と熊笹の木道を下って登り返す、片道30分くらいの行程です。少し靄に遮られてはいますが、かなり遠方の山々までが展望できます。
牛ケ岳の山頂は登山道の途中に山名がペンキで書かれた標柱が立っているだけです。最高峰にしては扱いが低く標柱のペンキが剥がれてよく読めませんでした。
この先にも登山道が続いていて先端に人影があるので行ってみます。
低い熊笹をかき分けて進むと稜線の突端に小さな広場があり数人の登山者が食事をしています。
ここは五十沢キャンプ場方面へ下る裏巻機山登山道の一部でした。
ここからは、八海山、越後駒ヶ岳や中ノ岳の全貌が正面に見えるところです。越後駒ヶ岳に「今度行くからな」と心の声で語りかけオフィシャルの巻機山山頂へ引き返しました。
巻機山山頂のベンチで昼食にします。今日の食事はカップの「タンタン麺」とおむすびとパンのランチパックです。涼しくなってくると温かい食べ物が美味しくなります。沸かした湯を注ぎ3分待っていると、隣に一人の男性が腰掛けて食事の準備を始めました。その男性も同じ「タンタン麺」を持っています。聞くといつもこの「タンタン麺」を食べるのだそうです。宇都宮から来られたこの方はこの地域の百名山はこれで全て登ったと自慢げに話していました。同類の何と多いことでしょう。
山頂は相変わらず多くの登山者が出入りし一向に減りません。
食べ過ぎてしまい動くのが嫌になったので、割引岳へは行かずに山頂でノンビリすることにします。風は冷たいのですが日差しを強く感じます。お腹も満腹で山々の眺望を眺める満足感を味わう至福のひと時です。 しばらく眺望を楽しんだ後、往路を下山しました。
桜坂駐車場の登山口に着いたのは14時15分でした。山から水を引き込んでいるパイプの継ぎ目から噴き出している水で顔が洗えたので気分をサッパリして車に乗り込みました。
気掛かりだった山バッジは駐車場の料金所で買うことができました。