安達太良山
1,709m 福島県
奥岳 → 山頂駅 → 県民の森分岐 → 安達太良山 → 牛の背 → 峰の辻 → くろがね小屋→ 渓谷 → 奥岳
旅行会社が主催する登山ツアーに妻と参加しました。
横浜駅近くの集合場所に集まってきた皆さんは、山慣れしている感じの方ばかりで、登山ツアー初心者の我々は何か場違いな気がします。登山ツアーには初参加で私達でも大丈夫なのか少し不安はありましたが、年齢的には負けそうもないので、何とかなると開き直ることにしました。
東北自動車道を二本松インターチェンジで降り、岳温泉を経由して奥岳に向かいます。奥岳には沢山の観光バスが着いていて、こんなに多くの観光客が来ている山なら大丈夫だと少し不安は解消されました。
登山ガイドさんから、登山準備を済ませてゴンドラ乗り場の前に集合するように案内がありました。皆さんはツアー慣れしているのかとても要領良くテキパキと動いています。
集合時間まで時間は無いのですが、忘れないうちに山バッジを買っておこうと準備もそこそこに売店を探しますが、なかなか見つからず少し焦ります。店の隅のほうで見つかったときはホッとしました。
集合場所へ向かうと既に多くの人が集まっていてそのほとんどの人がスパッツを着けているではありませんか。聞くと昨日の雨でぬかるんでいるらしく急いで着けることにします。妻も無論用意している筈はなく、一緒に着け始めます。
スパッツを始めて着ける妻は、他のメンバーに手伝っていただき事なきを得ました。準備運動もろくにしないでロープウェイに乗り込みます。空は晴れてはいませんが、雨の心配はなさそうです。ロープウェイは一気に標高1,350mまで運んでくれて楽ちんです。
ロープウェイ上駅でガイドさんを先頭に登山道に入ります。緩やかな溝状になった坂道を登っていきますが所々に水溜りがあって歩くペースが乱れます。皆さんに倣ってスパッツを着けていて良かったです。ツアーメンバー全員が遅れる方も無く快調に歩いています。周囲が開けた小平地(五葉松平でしょうか?)で小休止します。
ガスっていて眺望は良くありませんが安達太良山頂の溶岩の突起(乳首と呼ばれています)と右に矢筈森と思われる三角錐が見えます。
少し急になったガレ場を登ると間もなく安達太良山頂の看板がある乳首の直下に着きます。
ガイドさんが岩場登りの基本の三点確保を皆さんに解説してくれます。これもガイドの役目として義務付けられているのでしょうか?僅かな岩場の登りで山頂に着きます。
山頂は360度の展望です。といってもガスが多く遠方は見えません。
ガイドさんが吾妻連峰や磐梯山の方角などを説明していると、妻が「あれ磐梯山じゃない?」と西の空を指差します。目を凝らすとぼんやりと山の影が見えます。間違いなく磐梯山です。写真には写らないかもしれませんが一応撮影してみました。
山頂からのパノラマ写真を撮っていると、ガイドさんからそろそろ別のツアー客が着く頃だから山頂を譲りましょうと下山を促されます。離れがたいのですが仕方がありません。
山頂から鉄山方面(左側が沼の平・右方向が奥岳)
ガイドさんから今日のツアーメンバーは健脚者が揃っているようなので、「沼の平」が望める牛の背経由で下山することが提案されて、もちろんメンバーの皆さん大賛成でした。
普段であれば山頂から直ぐに「峰の辻」に向けて下山してしまうようです。牛の背の稜線から見る沼の平は、今までに見たことの無い、大地の傷口を感じさせるような異様な雰囲気の噴火口です。箱根の大涌谷のスケールを数倍大きくしたような広大な火口に圧倒されました。今でも危険地域として立ち入りが禁止されているそうです。
その牛の背をあとにくろがね小屋に向けて下山します。結構、急勾配の道をグングン下りくろがね小屋で小休止します。くろがね小屋は正しく黒い建物で、ここの温泉は登山者にとても人気があるそうです。くろがね小屋からは、マウンテンバイクでも走れそうな平坦な道をひたすら下ります。林道を何度か横断し、橋を渡ったところから左へ道を逸れました。通称烏川(からすがわ)に沿って、標高約950~1,000mの流域に設けられたあだたら渓谷自然遊歩道に入りました。ここの渓谷には、二階滝、魚止滝、昇竜の滝や平滑の床といった小さな滝や橋があります。登山を終えて最後のフィナーレに気持ちの良い渓谷を見ることができてラッキーです。ガイドさんの演出に感謝です。
渓谷の最後に近い魚止滝に着くころには、すっかり夕闇が迫っていました。 1キロほどの短い渓谷は、今回のトレッキングの終点でもある奧岳でした。
奥岳にある富士急ホテル「奥岳の湯」で汗を流し、ロビーでバスが出発するまでの間、メンバーと一緒に柿ピーをつまみにビールを酌み交わしました。ガイドさんは仕事中とのことで飲むことができません。ツアーメンバーの皆さんは、色々な山に登られている経験者のようで、山談義に花が咲きます。後ろ髪を引かれる思いでバスに乗車し、ガイドさんに見送られて横浜に向け出発しました。バスツアーもなかなかのものだと思った山旅でした。