坂 戸 山
634m 新潟県南魚沼市
鳥坂神社 → (城坂コース) → 一本杉 → 分岐 → 坂戸山山頂 → (薬師尾根コース) → 鳥坂神社
※歩行時間は記録しませんでした。花の撮影に相当の時間を要しましたので、山中には4時間くらい居たと思います。
坂戸山は山麓一体が「坂戸城」という戦国山城で、古くから地元民に親しまれてきましたが、平成21年のNHK大河ドラマ「天地人」の主人公「直江兼継」の生誕の地ということから一躍有名になりました。また、カタクリの花の群生地として以前から有名で、既に時期を逸したかもしれませんがこの花を撮りたくなり妻と出掛けてみることにしました。
鳥坂神社登山口の駐車場に近づくと、そちこちに「天地人」の幟旗が立てられ、地元民が挙って盛り上げようと努力しているようです。
GW中ということもあり混乱を避けるために、神社境内の狭い駐車場は閉鎖して臨時駐車場を用意したようです。山頂まで1時間強の山ですが、足元だけはしっかりしておいた方が足に負担が無いので登山靴に履き替え、頂いた登山案内マップに従い鳥坂神社の左の舗装された林道(城坂コース)を歩き始めます。
カタクリ、カタクリと呟きながら歩いていると、カキドオシの群落が目に飛び込んできました。おびただしいほどの数です。
何処にでも咲いている花ですが、これほどの規模は見たことがありません。
カキドオシ
カタクリの実
旬を過ぎて枯れかけた「イカリソウ」が咲いています。左手には実と葉になったカタクリの群落が見えてきました。
やはり来るのが遅過ぎたみたいです。気を落としながらも「山頂に近づけば日陰に一輪くらい咲いているかもしれない」という淡い期待を胸に先に進みます。
ガイドさんに先導された観光客の団体さんとすれ違います。これも「天地人」効果のようです。
道端の花を撮影しながら歩いていくと坂戸城跡の石柱が立つ石垣の前に着きます。
沢山の観光客がガイドさんの案内に耳を傾けています。この石垣は国指定の重要文化財史跡になっているそうです。また、近くには「上杉景勝・直江兼継」の生誕の碑も立っています。観光客の団体さんはここでUターンして帰路につきますが、勿論私たちは先に進みます。
濃紫色の花が目に入りました。ヘラ型の葉に濃紫色の花は待ちに待った「スミレ」に間違いないと思います。見分けの難しいスミレ類の花を撮り始めて、お初にお目にかかる「スミレ」です。
上杉景勝・直江兼継の生誕の碑
道の右側が杉林になると木の根元に「チゴユリ」や濃い赤紫色の「イカリソウ」が咲いているのを見つけました。
イカリソウは高尾山で撮影したものとはまるで違う色です。思わず駆け寄って撮影します。
更に進むとこの道の両端はイカリソウで埋め尽くされていました。美形の花を見つけると立ち止まって撮影するので、待たされる妻は少しイカリソウでした。
大きくジグザグに登る道は傾斜は少ないもののその分、歩く距離は長くなります。ジグザグに登る本線を串刺しするように小道が付いていましたが、急いで登りたい方々が残した踏後が広がったものだと思います。
以前の私でしたら間違いなく短縮道を登ったと思いますが、花を探して撮影しながらノンビリ歩くようになった今の私たちには遠回りも苦になりません。かえって花と出会えるチャンスが増えると考えます。
一本杉を過ぎると傾斜がやや急になります。白い距のオオタチツボスミレ?と思われる株を沢山見かけます。
ヘビイチゴの花に似た山吹色のミツバツチグリ(三葉土栗)の花も鮮やかです。振返ると六日町の市街が望め、標高の割りに高度感はあります。
時々、1センチほどの白い「ニョイスミレ(ツボスミレ)」も現れるのですが、季節外れのためか中々美人に会えません。
それでも撮影する私は当然置き去りにされます。慌てて走って追いつきます。
紫色のイカリソウ
白色のイカリソウ
そんな繰り返しをしているうちにカタクリの群生地「桃の木平」に着きました。ロープで囲われた大群生地の中央にピンク色のカタクリと思われる花が見えますが、手持ちの望遠では捉えることができません。残念です。
後ろ髪を引かれる思いで杉林に入り、最後のチャンスがあるかもしれないとキョロキョロしながら登っていくと、杉の木の根元に1輪のカタクリが咲いているではありませんか。ヤッターと心で叫び、夢中で撮影します。
杉林の中にカタクリを見つけました!
妻も私の姿を見てニコニコしています。カタクリの花に出会うのは昨年4月20日に御前山で見てから2回目です。御前山で見たときと違いこの花は綺麗に花弁を後方に反らせています。感激です。これで今日、この山へ来た甲斐がありました。
るんるん気分で杉林を抜けるとパッと視界が開けます。左には残雪の八海山や中岳の山々が連なっています。
無機質な白の山をバックにしてユキグニミツバツツジの赤が映えます。
ここの平から僅かに登ると再び平らになり、山をひな壇状に削って作った城郭の雰囲気があります。最後のひな段の基部の平には多数のカタクリが咲いています。
ここは遅くまで残雪があるところだそうで、花も長持ちしたようです。
何てラッキーなことでしょう。心を落ち着かせてファインダーを覗きシャッターを押します。
何枚も撮っていると妻から「もういいでしょう」と声を掛けられて我に返り、切り上げることにします。
富士権現社殿の建つ山頂からの眺望は360度で、近くに金城山、その後方に巻機山、左に転じると中岳や八海山など、雪を頂いた山々が連なります。反対側には眼下に六日町の街を望み、遠くには苗場山と思われる山々が望めます。空気の澄んだ季節には更に多くの山々が望めるようです。
山頂では何組かの家族連れがシートを広げて食事をしています。私たちも木の切り株に腰掛けて少し休憩します。水しか持ってこなかったのですることも無く、少しボーとして下山することにします。
山頂の西の方角に大城、小城というのがあるようですが、立ち寄らずに薬師尾根コースを下ることにします。
後に知ったことですが、大城付近はカタクリの大群生地として有名だったようです。
藥師尾根は、下り始めて直ぐに短い鎖場がありますが危険ということはありません。
城坂コースと違いユキグニミツバツツジやツクバネウツギなどの背の低い潅木帯の中に付けられた、良く整備された階段の多いコースです。ツツジの朱赤が鮮やかです。
ユキグニミツバツツジ
ツクバネウツギ
階段を快調に下っていくと足元に「オオイワカガミ」の花を見つけました。城坂コースとは植物の分布も全く違うようです。
何度もイワカガミをカメラに収めようと立ち止まるので、妻はウンザリしているみたいです。
そんな道草を食いながら下ったので予想以上に時間がかかってしまいました。
下山口では地元の方々がテントを張って何かイベントをしているようなので立ち寄ってみることにしました。
ボランティアの方々が、立ち寄った人々にお漬物や湯茶の無料サービスをしていて、私たちもご馳走になりました。
「天地人」のTシャツの販売をしていたので私たちと息子の分を買ってから、遅くなった昼食を求めてその場を後にしました。
セイヨウジュウニウヒトエ