御 前 山
1,405m 東京都
奥多摩湖バス停(10:00)→(11:07)サス沢山(11:12)→(12:34)惣岳山(12:36)→(12:53)御前山(13:31)→(13:40)御前山避難小屋 →(14:42)トチノキ広場 →(15:00)栃寄の森の家 →(15:59)境橋
【歩行時間 5時間14分】
鋸尾根からの御前山です
街の桜も葉桜になって、初夏の佇まいをみせてきました。会社の仲間との山行がアクシデントで延期になり時間が空いたので、少し早いかもしれませんが奥多摩の御前山にカタクリを見に行くことにします。カタクリの花は咲くまでに7年を要すとのことで、地元の方々が保護活動を行っていると聞きます。昔はこの花の球根から抽出したデンプンを使って片栗粉を作っていたことからこの名前が付いたようです。
準備運動をするハイカー集団
JR青梅線の終点奥多摩駅から西東京バスで「奥多摩湖」に向かうのですが、定刻の丹波行きバスは既に満員で、奥多摩湖止まりの臨時便も1台では到底乗り切れずバス乗場には登山者が溢れかえっていました。私はラッキーにも1台目の臨時便に乗車でき予定通り「奥多摩湖」バス停に着くことができました。こういう時は単独行の身軽さが幸いします。
この日は曇天で降水確率は低く雨の心配は無いという予報ですが、空を見上げると厚い雲が空一面に広がっています。
多摩湖には何かのスポーツ大会でもあるかと思わせるほど大勢のハイカーが集まっています。いつもながら思うことですが、どうして日曜日に集中するのでしょうね。現役で働いている方々は日曜日でないと集まれないのは分かるのですが・・・。
この辺りではまだまだ桜が咲いていてのんびりと眺めながら小河内ダムの上を登山口に向かいます。
ダムを渡りきると左手に公園があり、ここの桜は満開でこの様子を写真に収めようと動き回る写真家もいます。丸太で土留された階段を登り始めます。
登山口の公園
公園奥の登山口
足元に咲くタチツボスミレを見つけました。今日も道すがら沢山のスミレとご対面することでしょう。
段が終わると旧登山道を右に分けて左の土の急斜面を登っていきます。いきなりの急坂に体が追従できず足の運びがどこかぎこちなく、意識してゆっくりと歩を進めます。
登山道脇のそちらこちらに咲く「アカヤシオ」が「頑張れ」と応援してくれているみたいです。
所々にしっかりと踏ん張らなければすべってしまいそうな急なところもありますが、気を抜かなければ危険な場所ではありません。そんな急坂もわずか20分くらいで終わり、少し広くなった平に出ます。早くも休憩している方も居ますが、もう少し先に進みます。
この先はしばらく緩やかな傾斜の登山道が続き、足への負担は少なくなります。
スミレが多数咲く道を小さくジグザグに登るとサス沢山(940m)に着きます。
ここまで写真を撮りながらですが1時間強を歩いたので一休みすることにします。数人の登山者が同じように休憩を取っています。ここからは西側が開けていて奥多摩湖が眼下に眺望できます。湖が見やすいところまで行くと風に吹かれて直ぐに肌寒くなりました。
質素なサス沢山山頂
奥多摩湖を望む
サス沢山からは杉林を右に見ながら少し下り、再び登り返していきます。ポツポツと雨の雫が肩をたたき始めました。雨具を付けるほどの雨量でもないのですが、ザーとこられたときのことも考え、上だけ雨具を着込みザックカバーを掛けます。
開ききらないカタクリ
左側の落葉の潅木帯が開けてきたところ辺りから、カタクリの葉と思われる濃い緑色の葉が目立つようになります。岩の混じる道に差し掛かるとカタクリの花がそちらこちらに見えるようになります。
初めてお目にかかるカタクリの花。初対面で恥ずかしいのか写真で見ていたように花びらを反り返らせてはいないで少し口を開いたような姿でした。
太陽が出ていれば開いているのでしょうが、雨模様では仕方がありません。
それでもできるだけ大きく開いている花を撮影しようと辺りを見回します。残念なことにそれは願わぬ希望でした。自然には勝てません。また見にいらっしゃいということでしょう。
それでも、南側斜面の日当たりがよいところでは違うかもしれないと僅かな望みに期待して次の目標地である惣岳山の登りに差し掛かります。
鞍部へ下る(緑はコバイケイソウの葉)
電光形に切ってある急坂を登ると大きな岩が立ちはだかり、左に回りこんでいくと「コバイケイソウ」の群落の鞍部に出て、更に登り返すと惣岳山の山頂に着きます。
惣岳山山頂
多くの登山者が昼食をしたり、ストレッチをしたりして休憩しています。私も少し休もうかと周りを見回しましたが、お店を広げられるスペースもないので、一口水分を補給して御前山に向かうことにします。
一旦僅かに下りますが、再び登りになり右後方に三頭山が見えてくると間もなく御前山山頂に到着します。
あれほど花の撮影に道草をくった割には予定時間くらいで登ることができました。
山頂には多勢の登山者が休憩しています。
御前山山頂
多人数で登ったグループが山名標柱の前で、楽しそうに代わる代わる記念撮影をしています。皆で達成感を味わっているのですね。
雲取山方面
山頂からは北方向が開けていて、雲の間から雲取山が顔を覗かせています。雲取山に登ったときのことを思い出します。
即席タンメンとクリームパンというミスマッチの食事を済ませます。続々と登山者が到着し山頂が満員状態になってきました。
ふと時計を見ると現在13時7分。下山口の境橋バス停発の奥多摩駅行き発車時刻は15時44分と16時22分なので、境橋までの所要時間は2時間強と見込むと、今出発すれば15時台の便に乗れそうなので急いで下山準備にとり掛かります。
奥多摩体験の森を経由して境橋バス停へ向けて下っていきます。
少し滑りやすい丸太の階段を快調に下ると直ぐに鋸山・大岳山方面との分岐になるので左方向へ進みます。僅かでログ風の建物の避難小屋(トイレ付き)の前を通過し、ナラなどの潅木の林の中を下っていきます。
大岳山方面との分岐
避難小屋
大岳山
避難小屋を少し過ぎて右側の林が途切れたところから大岳山が見えます。大岳山には過去に御岳山経由で2回登りましたが、毎回とても疲れたという印象しか残っていません。
体験の森の敷地内は道標などもしっかり整備されていて、素直に歩けば迷う心配はまったくありません。湧水の広場からは雲取山方面が見渡せます。この登山道は北斜面で成長が遅いためかカタクリの花を見かけることはありませんでした。
体験の森の山道
雲取山
淡々と下ると右へ「カラマツの広場」左へ「シロヤシオの広場」の分岐に差しかかり、右を見ると東屋があるので近づいてみます。木製のしっかりした造りで休憩するのによさそうです。写真だけ撮って分岐に戻り奥多摩駅方面の道を下っていきます。
道端に「ヨゴレネコノメソウ」が沢山咲いています。「ヨゴレ」などと可愛そうな名前を付けられた花です。
再び十字路となり道標に従い林道のような道を右へ行きます。
後に分かったのですが直進する道を下れば時間が短縮できたみたいです。
境橋から日原川を覗く
境橋バス停
ヤマエンゴサク
ハシリドコロ
アズマイチゲ(開花前)
林道の右斜面に生える「ヤマエンゴサク」や「ハシリドコロ(有毒植物)」を観察しながら歩きます。
左にはイタヤカエデの大木が貫禄でそそり立っています。ヘアピンカーブで折り返し、右の急坂を下り終わると舗装された林道と合流します。少し先でこの舗装道路は昨年の台風9号による土砂崩れで通行止めになっていて再び登山道に戻ります。この道にもたくさんのスミレやキケマンなどが咲いていました。
今までにスミレは何枚も撮影してきたのだから止めればいいものを欲が出てきてカメラを構えてしまいます。何人もの登山者に追い越されました。
そんなことをしながら、歩いているうちに東屋が建つトチノキ広場に出て「奥多摩体験の森」を抜け出ます。
ムラサキケマン
ここからは登山道が通行禁止になっているので、舗装された林道を境橋バス停まで歩きます。
この林道沿いにある「栃寄森の家」付近の駐車場の周辺で様々な種類の桜の満開を見ることができました。
林道沿いの路肩に咲く花を何度も立ち止まって撮影しながら歩いたので、予定時刻を大幅に超えて境橋バス停に着きました。
キケマン
奥多摩駅近くの旅館で入浴し広間の窓から多摩川を眺めながらビールで喉をしめらせてから帰途につきました。
境橋から日原川を覗く
境橋バス停
ヒトリシズカ
カキドオシ
クサノオウ
マルバスミレ
フイリナガバノスミレサイシン
クサノオウ
キイチゴ
セリバヒエンソウ
ツクシ
フキ
ハルジオン
ニリンソウ