明神ガ岳~明星ガ岳
1,169m~924m 神奈川県
大雄山最乗寺(9:05)→(9:45)見晴小屋(9:55)→(10:10)神明水 →(10:41)銀名水の先(10:50)→(11:00)明神ガ岳分岐 →(11:08)明神ガ岳(11:25)→(11:49)宮城野への分岐A →(12:08)明星ガ岳の直下(12:48)→(12:59)宮城野分岐B →(13:02)明星ガ岳(13:03)→(13:37)杉林の中(13:52)→(14:12)林道出合 →(14:27)塔ノ峰登り口 →(14:41)塔ノ峰(14:42)→(15:17)阿弥陀寺(15:32)→(15:46)塔ノ沢登山口
【歩行時間 4時間53分】
大文字焼の跡が浮かぶ明星ガ岳です
勤め先の先輩に誘われて箱根外輪山の明星ガ岳へ登ってきました。
明星ガ岳は、小田原の街から見るとこの山の上に宵の明星が輝くことからこの名が付いたといわれています。また、毎年8月16日のお盆の送り火の時に、山の斜面で「大文字焼き」が行われることでも有名です。
新松田駅から大雄山最乗寺までタクシーで移動し、そこから登山道に入ることにします。
大雄山最乗寺本堂
大雄山最乗寺大雄山最乗寺は地元では「道了尊(どうりょうそん)」と呼ばれて親しまれています。
開山の時に活躍した「妙覚道了」という人を鎮護本尊にしていることから道了尊と呼ばれるようになったそうです。また、妙覚道了は大変な力持ちだったので、山の神への畏怖の念と結びついて天狗の住む寺と考えられるようになったそうです。境内には大小の鉄下駄が奉納されているようですが見学するだけの余裕も無く最乗寺を出発しました。
明神橋を渡る
境内の南側にある碧落門を出ると明神橋があり、この橋を渡って杉林の登山道に入ります。木の根が多く所々に大きな段差があるような道ですが、綺麗に整備されています。
杉林の中は凛とした空気に包まれています。静寂の中を黙々と歩を進めます。
やがて林道を二度横断すると小さな小屋のある平に出ます。
杉林の中の穏やかな道
林道を横断する
この小屋は、明神ガ岳見晴小屋でベンチもあるので1回目の休憩をとることにします。
今日の登山メンバーは二人とも勤め先の同僚で、一人は山慣れしている中年で、もう一人は高校時代の元山岳部員で、メタボ登山家の私としては、苦しくなるかもしれません。
ここからは、南足柄市街は望めますが、木々が生長して湘南の海までは見えませんでした。
明神ガ岳見晴小屋
南足柄市街を望む
小休止します
見晴小屋を出て、杉林を過ぎると灌木帯の溝状になった土の道になり、僅かに進むと防火帯と思われる視界が広がる尾根道になります。
この辺りからスミレの花がそちこちで見られるようになります。スミレの花は今が最盛期だと思います。
開けた道の終点付近に「神明水」と呼ばれる水場があります。飲用できるか不安だったので飲みませんでしたが、そこそこ冷たい水でした。
溝状に掘れてしまった登山道
カヤトが刈られた道
神明水(じんみょうすい)
この辺りから少し傾斜がきつくなり、左側から水の流れる音が聞こえますが、水が流れている様子は見ることができませんでした。
小さな沢と涸れ沢を渡り、尾根を巻くように登っていきます。登りの中腹の小広くなったところで2回目の休憩をとることにします。
左側に相模湾が見えるはずですが、落葉した木々が目隠しして見通すことができません。
一寸一休み
左には相模湾が広がる
ここを過ぎるとカヤトの開けた尾根に出ます。
左を振り返ると相模湾が望めますが、霞んでいてハッキリとは見えません。
カヤトの原を過ぎて再び左右の樹林の間を登ると明神ガ岳(右)と明星ガ岳(左)との分岐に着きます。予定時刻よりも早いこともあり、明神ガ岳までの寄り道時間を確認して協議した結果、明神ガ岳に寄っていくことにします。
実はこの時アクシデントが起きていたのです。
登山地図をザックに戻し、再び担ごうとした拍子にAさんは左膝を痛めてしまっていたのでした。
明神ガ岳と明星ガ岳の分岐
そんな事態が起きているとは知らずに私達は、Aさんが最後尾になるのを尻目に、土がむき出しになった急斜面を息を切らせながら登っていきます。Kさんは相変わらずのハイスピードで、私には付いていけません。いつものペースで登ります。
稜線に出ると箱根中央火口丘の神山、駒ケ岳が見えます。大涌谷もはっきりと確認できます。
稜線の最後の急坂を登りきると誰も居ない明神ガ岳の山頂に到着します。
稜線に出ると神山と箱根駒ケ岳が顔を出します
稜線の急坂を先行するKさん
明神ガ岳でKさんとAさん
方向指示板の前で 後方は神山・箱根駒ケ岳
明神ガ岳の山頂からは、金時山の向こうの真っ白な富士山、箱根の山々が一望できます。
霞んでいなければ南アルプスや丹沢山塊も望める展望の優れた山頂です。
Aさんの様子がおかしいので尋ねると膝を痛めたとのこと。持っていた湿布を進呈しましたが、1枚きりしか入っていませんでした。こんなときに限ってツキがありません。
明神ガ岳を後に(稜線分岐)
昼食には未だ早い時間なので、もう少し先に進んでから昼食を摂ることにして出発準備をします。
出発準備をしていると女性の二人組が山頂に到着しました。一人の女性がしきりに「素晴らしい」を連発して眺望に感動していました。この女性達に一つしかないベンチを譲り、我々は出発します。
これから辿る稜線
明神ガ岳からは、右側の箱根方面の視界が開けた稜線を明星ガ岳へ向かって下ります。
多少のアップダウンはありますが、気持ちの良い稜線漫歩です。
Aさんの歩き方がぎこちなく、痛みに耐えて歩いているのが伝わってきます。無理をして悪化させなければよいのですが…。
箱根駒ケ岳(左)と神山(右)
明星ガ岳への稜線
エスケープできる宮城野へ下る分岐に着きましたが、Aさんは続けるみたいです。元山岳部なので山の基本を承知しているうえでの判断として尊重します。
明星ガ岳まで続く防火帯のような尾根道を歩き、明星ガ岳が近づいてきたところで昼食休憩にします。
昼食休憩します
この道の両側はササが刈り払われていて、その道幅が拡がっているところにお店を広げます。
明星ガ岳までの道程が良く見えます。その右側には二子山も見えています。
相変わらずのカップ麺とサンドイッチとおむすびの昼食です。Kさんから「ゆで卵」をご馳走になりました。ご自身で今朝、作られたそうです。自分ではやったことがないので感心します。作り方を教わり次の機会に作ってみようと思います。
宮城野分岐を過ぎ明星ガ岳へ向かう
昼食を済ませて、ぼんやりと後片付けをしていると、Aさんが先に行くと言って出発して行きました。ご自身の歩くスピードが遅いことを気にしているみたいです。我々は全然気にしていないのに。
稜線を登るAさんの後姿を見たりして、食休みをしていると、いつの間にかAさんの姿が見えなくなりました。既に登りきったみたいです。
我々も出発して最後の登り返しを頑張るとそこにはAさんが待っていました。
明星ガ岳山頂 質素!
宮城野への下山口を通り越して山頂を探しますが、それらしきところがなかなか見つかりません。
ふと左側に目をやると「登頂記念」の小さなプレートがあり、この付近ではと辺りを見回すと朽ちかけた鳥居と看板を発見しました。
明神ガ岳と違って質素だねと言うKさんの言葉にうなずきます。
山頂の祠と鳥居は御嶽大神で昔は明星ガ岳を箱根御嶽と呼んでいたそうです。
明星ガ岳からは、塔ノ峰を経由して箱根湯本へ下る計画です。Aさんに聞くと、登りでなければ大丈夫そうなので、予定通りのコースを歩くことにします。
登山地図の等高線では余り高低差が無くても、山道ですからアップダウンはあります。早めに休憩をとります。
林道に出ました
明星ガ岳からの道ではクサボケやミツバツチグリの花を撮影しながら、アップダウンを繰り返し、左側のスミレの群落を過ぎると1時間10分ほどで林道に出ます。この林道を左へ歩きます。
林道沿いには満開の山桜、スミレ、ハコベやミミガタテンナンショウが迎えてくれました。健気に咲く花を見ると心が安らぎます。林道を900mほど歩くと右側に塔ノ峰の登り口がありこれに入ります。
林道を歩く 山桜が綺麗です
塔ノ峰入口
塔ノ峰への僅かな登りは、土が階段状で登りやすくなっています。この道端に「エイザンスミレ」と思われる葉が深く裂けているスミレを発見しました。スミレは種類が多すぎてよく分かりません。
左側に伐採地が見えてくると間もなく塔ノ峰に着きます。塔ノ峰にはご年配の男性三人組が休んでいました。今日、宮城野橋から登ってきたそうです。道了尊から登ってきたと話すと若さだね~と言われました。
階段状の登りは辛そう
左側は伐採されています
遠くの山(中央)が明神ガ岳です
塔ノ峰からは右に樹林の中の塔ノ沢への道を下ります。
この道もかなりの急坂で膝を痛めているAさんには辛く長い下りになりました。
阿弥陀寺本堂(昔は萱葺きだったようです)
それでも何とか無事に阿弥陀寺まで降りることができました。ここまでくれば、塔ノ沢までは僅かの距離です。
阿弥陀寺で大休止することにします。
三門です
最後の階段を塔ノ沢に下る
阿弥陀寺から下る参道は、簡易舗装された急坂に続き石段になります。三門を潜り更に階段を下り塔ノ沢の登山口に到着します。舗装道路を真っ直ぐに下ると、先ほどのご年配三人組が言っていた「ひめしゃらの湯」に着きます。
KさんもAさんも入浴を予定していたようで、私も大賛成なので立ち寄っていくことにします。入浴後に休憩室で小宴会になったことは言うまでもありません。
帰りは箱根湯本駅まで温泉の送迎バスで送っていただき帰途に着きました。
塔ノ沢の登山口
ひめしゃらの湯
ひめしゃらの湯