大 山
1,251.7m 神奈川県
蓑毛(9:35)→(10:02)春岳沢水場 →(11:00)ヤビツ峠(11:30)→(12:37)25丁目 →(12:50)大山山頂(13:40)→(14:45)展望台(15:00)→(15:23)下社(15:37)→(15:52)大山寺(15:56)→(16:16)大山ケーブル駅
【行動時間:4時間41分】
ボーイスカウト(BS)のハイクの下見を兼ねて、BS副長の吉池さんと妻と一緒に、久し振りに丹沢の大山を登ってきました。
大山は丹沢山塊の南端に位置し一目でそれと分かる三角形の美しい姿をしており、山頂に阿夫利神社本社、中腹に阿夫利神社下社、大山寺が建っています。昔から大山講として山岳信仰の対象とされ、江戸庶民は大山詣と江ノ島詣をセットの娯楽としていたようです。今でも下社までケーブルカーで登ることができるので、初詣、紅葉シーズンばかりでなく一年中観光客が絶えない山となっています。
また、大山は別名「阿夫利(あふり=雨降りが転訛)山」と言い農耕民の雨乞いの神様として親しまれてきました。雨雲を集めやすい地形のようで、天候が下り坂のときに大山周辺に最初に雲が集まってきたという経験は何度もあります。
秦野駅から神奈川中央交通バスの「蓑毛」行きに乗り終点の蓑毛で下車します。バス便は蓑毛より先の「ヤビツ峠」行きもあるのですが、BSのハイクの時に道路凍結でバスが蓑毛止まりとなることも想定して、あえて蓑毛からヤビツ峠までの登山道を歩いておきます。蓑毛バス停にはトイレや飲み物の自動販売機もあります。駐車するスペースは無いのでバス利用が便利です。 今日は半袖のTシャツ1枚では肌寒く感じる気温で、少し雲はありますがまずまずの空模様です。
右の舗装路を進みます
蓑毛バス停の脇にある「みのげ橋」の袂から春岳沢(下流は金目川になります)に沿って舗装された道を登り始めます。
対岸の木々がオレンジ色に染まって年に1度の輝きを見せています。紅葉は既に終わったと思っていましたが未だ十分に綺麗です。
登り始めて直ぐに右側にマスの釣堀があり、左の茶屋の前を通過します。
バス停を後に出発(後方に見えるバスはヤビツ峠行き)
大好きなオレンジ色
更に進むと下社方面への分岐を右に分け、その先の右に和食処が見えてきます。これから先は薄暗い杉林の中の少し傾斜が増した舗装路を登ります。
秦野市水道局配水場の前を過ぎると傾斜も緩やかになり、春岳沢を丸太の橋で渡ります。
大山下社への分岐
この沢の水は全国名水百選に選ばれていて以前は水場として利用していたのですが、現在はその形跡もなく標柱が立っているだけです。
沢を渡ると杉林の中の登山道になり、直ぐに右に「髭僧の滝」への分岐があります。何度もこの道を歩いているのですが、一度としてこの滝へ行ったことがありません。
春岳沢を渡ります
髭僧の滝への道標
紅葉が綺麗です
杉林の中の緩やかな道を登り始め、間もなく色付いた広葉樹の道に変わります。
落ち葉が登山道を埋め尽くしています。この道は斜面を九十九折するように付けられていて植林地と広葉樹の中を交互に通過します。
秦野市街、真鶴半島や伊豆半島が望めるところで一本立てている間に、男性の単独登山者が追い越していきました。
樹間から秦野市街が…白く写ってしまいました
登るにつれて紅葉の色付きが良くなります。赤、オレンジ、黄、緑のそれぞれの木が自分を主張しています。
左側に林道のガードレールが見えてくると間もなくヤビツ峠です。
木々の競演です
山も崩壊が進んでいます
緩やかな登山道
ヤビツ峠へ直接向かう登山道が一部崩壊したため、ヤビツ山荘(廃業?)前へ一旦上がってからヤビツ峠のロータリーに降りるようになっています。
ヤビツ峠のバス停前には売店、駐車場やトイレがあります。ヤビツ峠は三ノ塔や塔ノ岳へ登る表尾根の登山口となっています。
ヤビツ峠へ最後の階段
ヤビツ山荘から大山方面へ少し登ると左手にベンチが置かれた広場がありここで休憩することにします。雲が急いで通過していきますが、ここはあまり風も当らず、日溜まりの中で軽く腹ごしらえをします。
少し長めの休憩後、大山山頂を目指して「いたつみ尾根」を登ります。
ヤビツ峠上の休憩広場
登山道は丸太で土留めされた階段から始まります。この階段は適度な歩幅に作られているので登りやすく高度が稼げます。5歳くらいの男の子を連れた若夫婦と年配のご夫婦の一行に追いつきました。どうやら三代で山登りを楽しんでいるようで、元気に登る幼子の姿を見ていると微笑ましくなります。御一行が道端に避けてくれた脇を追い越していきます。少し登って少し休む。今日はそんな感じのゆったり登山をしています。
ベンチで休んでいると御一行に追いつかれました。彼らも一休みするようです。
「お先に」と挨拶して再び登ります。右側から吹き付ける風が冷たく感じるようになってきました。半袖の下着とTシャツ姿の私ですが、二の腕が冷たく感じる程度で寒くて耐えられないというほどではありません。
登るに従いヤビツ峠で見えていた二ノ塔も霧の中に埋もれまったく見えなくなりました。雨降山の面目躍如です。
吉池さんも妻も晴れ男、晴れ女なのですが、先週登った愛鷹山の霧を私が連れてきてしまったようです。
下社からの登山道と合流する手前の潅木が途切れている所からの眺望を楽しみにしていたのですが、霧のスクリーンに閉ざされて願いは叶いませんでした。 吉池さんに見せてあげたかったのですが・・・。(写真)
天気がよければ見える景色(2007年1月10日撮影)
下社からの道との合流地点から山頂までは、やや急な岩混じりの階段状の道を10分ほど登ります。最後の一頑張りです。
山頂から下る人も多く、登る道を塞がれることもしばしばです。登山のマナーも何もありません。困ったものです。
26丁目分岐
日曜日だから仕方が無いと諦めて登ると金属製の鳥居が目に入り、そこは既に山頂の一角となっています。
鳥居をくぐり正面の階段へは行かずに左手の巻き道を行きます。ここから直ぐに阿夫利神社本社の社殿の裏手の山頂に登り着きます。
ここからは左側の富士山から丹沢山塊が見渡せる眺望が得られるのですが、生憎の天候により見ることはできません。
そういう場所であることだけ吉池さんに伝え、トイレの脇をすり抜けて本殿の方へ回りこみます。
大山山頂から見える丹沢山塊
本殿前の広場には沢山の登山者が思い思いに寛いでいます。風が強く着込まないと冷え切ってしまいます。流石に私も寒くなり山シャツとウインドブレーカーを着込みます。
丁度、テーブルが空いたのでそこに陣取り昼食にします。昼食といっても駅の売店で買ったおむすびとウインナパンの残りだけで冷たくて質素な食事です。 妻に反対されながらも持ってきたストーブで湯を沸かし、インスタントの味噌汁を作ります。寒いときは温かいものが欲しくなるものです。
吉池さんが先日亡くなった良友のTさんを偲んで献杯したとき、一瞬太陽が顔を出しました。Tさんが会いに降りてきてくれたのかもしれません。
吉池さんは妻と私にもお神酒をご用意してくださっていて、妻はちゃっかりとお相伴にあずかっていました。確かに中から暖めるのが一番です。
天候も回復する気配が無く、寒風に吹き曝されていて体が冷え切ってしまうので下山することにします。直接下社へ下ってもよいのですが、少し遠回りして展望台を経由することにします。
下り始めは丸太の土留の階段で、所々段差の大きなところもあります。何時もここの階段に差しかかると、山登りを始めた頃に大股で降りて膝を痛めたことを思い出します。今では無理しないでペースを守って下るようになりました。
後方に賑やかにお喋りする女性数人のグループが付いてきます。熊も迂闊に近寄れないほどの大声に閉口し、先に行ってもらうために立ち止まります。あれだけの大声でお喋りしながら山を下れるのですからすごく健康な方なのだと思います。
そのグループが通り過ぎてから暫く経ってやっと山に静寂が戻ってきました。再び歩き始めましたが、少しして先方に例の女性グループが立ち止まっています。上着を脱いだり水を飲んだりしているので休憩だと思い抜いていくことにします。横をすり抜けるときに動き始めそうな様子だったので、間隔をとるためにスピードを上げて下ります。暫くすると距離が開いたのか声も遠ざかり気にならなくなりました。本当に五月蠅かったですが、思い出話の種にはなります。
樹林の中の単調な下りを続けると、少しずつ前方に街が見えてくるようになり、その様子から下界は小春日和なのだと想像できます。
やがて壊れかけた鹿除け柵に沿って歩き、荒れた登山道を迂回するように新設された道へ右折し、杉林を抜けて少し登ると展望台に着きます。何組かの登山者が休憩しています。我々も一本立てることにします。大山を振り返ると山頂が見えていて天候が回復したみたいです。
紅葉の大山の斜面の向こうに大山三峰が見えます。この山にもなかなか登る機会がありません。
展望台からは杉林の中の緩斜面を下社へ向けて下っていきます。大きな岩が崩れたところもあり、確実に少しずつ山の崩壊が進んでいます。
二重滝の近くの杉の大木が二本倒れていたのにはショックでした。その周辺も崩壊の危機に瀕しているように見えました。
やがて右手に売店前の広場へ登る階段が見えてきますが、通り過ぎて女坂の下山口へ向かいます。
下山口から下社の方を見上げると紅葉が真っ盛りで、見ておかない手は無いと売店が建つ広場への階段を登っていきます。
緑色から黄緑色、オレンジ色、赤色へと変わるグラデーション状に染まったモミジは言葉で言い表せないくらい綺麗です。オレンジ色の紅葉を楽しんだので、今度は大山寺の赤い紅葉を見に行くことにします。
女坂の石段を下ること10分ほどで大山寺の裏手から境内に入ります。
大山寺のモミジは深い赤色で、少し枯れ始めている葉もあります。私としてはオレンジ色のグラデーションの方が好みです。陽が射していると一層鮮やかに見えるのですが、少し到着が遅かったようです。
大山寺の石段を下り先へ進みます。この辺りからは階段も途切れ途切れになり、段数も少なくなります。小さな沢沿いの道の両脇には何本も植樹されている木がありますが名前がわかりません。水場を過ぎて橋を渡ると男坂と合流し、間もなくケーブルカー乗場の追分に着きます。
追分からは大山ケーブル前バス停まで観光客に混じって仲見世を歩くことになります。
何時も立ち寄るお総菜屋さんで「きゃらぶき」を買います。バスロータリーに目をやると既にバスが停車していて、座れることを祈りながら足早に乗り込むとラッキーなことに何席か座席が空いていました。7分ほどの待ち時間の後、バスは僅かな時間差で座れなかった観光客を乗せて伊勢原駅へ向かいました。
伊勢原駅前の食堂で2時間ほど今日の山行の反省会を済ませてから横浜への帰路につきました。