愛 鷹 山

1,504m  静岡県

2007年11月24日(土)  晴れ
【メンバー】 単独

十里木登山口駐車場(8:00)→(8:12)十里木高原展望台(8:14)→(8:35)馬ノ背【1098m】→(9:26)勢子辻分岐 →(9:34)越前岳(9:48)→(10:19)高場所分岐 →(10:29)呼子岳(10:50)→(11:29)休憩(11:35)→(11:48)越前岳 →(12:55)十里木登山口駐車場

【歩行時間 4時間12分】

早朝の愛鷹山


箱根の金時山から富士山を望むと、いつも富士山の左側に従えるように姿を見せる愛鷹山は、古くは足高山と記されていて、富士山を中心に愛鷹山(足高山)、山梨県の足和田山、箱根の足柄山を合わせて「富士三脚」と呼ばれているそうです。
この山域に愛鷹山(1188m)という名の山はありますが、箱根方面から見える二つのピークは右が最高峰の越前岳(1504m)、左が位牌岳(1458m)で、これらの9つのピークの総称が「愛鷹山」なのです。

十里木登山口駐車場

早朝の富士山

今回は十里木の駐車場から越前岳へ登り呼子岳(1313m)をピストンするルートにしました。 朝7時に十里木の駐車場に着くと十数台が既に駐車しています。皆さん早いですね~。今日は睡眠時間が短かったので眠気が襲ってきました。時間的には余裕があるので車のシートを倒して少し寝ることにします。賑やかな声に起こされて時計を見ると7時半。30分ほど寝たようです。すっかり太陽も顔を出して明るくなっています。

十里木登山口


今日は快晴で雲ひとつありません。二人の幼児の一人を背負いもう一人の手を引いたご夫婦や若いカップルが次々と出発して行きます。私もそろそろと登山靴に履き替えることにします。
駐車場の直ぐ近くから新品の丸太で土留された階段を登り始めます。十里木高原展望台までこの階段を登ります。

十里木高原展望台


展望台には10分くらいで着きます。裾野を大きく広げた富士山が雄大に望めます。宝永火口がハッキリと確認できます。山頂近くの電光型の登山道も見えます。南側斜面のためか温暖化のためか富士山の積雪量が少ないように思います。

馬ノ背(1098m)


展望台から霜柱の立った熊笹と萱の中の緩やかな登りを行き、電波塔の脇を通過します。
少し登ると前方に幼子二人を連れた例のご夫婦が見えました。馬の背で休憩していたようです。
潅木帯に入りルートを落ち葉に覆われ何度も道を外れながら進んで行くと霧がかかってきました。雲一つ無い晴天だったのにと思いながらも、直に晴れると高をくくっていました。

霜柱の登山道

勢子辻分岐

潅木帯の中では寒さを感じませんが、西からの風が当るところに出ると体が凍て付く感じです。霧もどんどん濃くなってきました。それでも雲を抜けて山頂は晴れていると確信していました。 午前中の早い時間なのに何人もの下山者とすれ違います。この山は前泊するような施設も無いのに何故なのでしょう?と思ったりしているうちに山頂に着きました。あまり広くない山頂には若いカップルと男性一人が居るだけです。

山名表示板、三角点とベンチが1台あるだけの質素な山頂です。位置的に360度の展望が得られる筈ですが霧で全く見えません。太平洋が見えるのを楽しみにしていたのに残念です。
風も強くて寒いので、皆さん長居しないで下ってしまうようでした。間もなくカップルも十里木方面へ下っていきました。

単独行の男性が山頂に到着すると山名表示板のところへ近づいて腕を伸ばして自分自身を撮影しようと構えていたので「写しましょうか」と声を掛けるとにこやかに「お願いします」の返事。
今度は私を写してくださると言われましたが、写されるのをあまり好まないのでお断りしました。この男性は十里木からのピストンではつまらないので、愛鷹神社に車を置き、愛鷹山~呼子岳~沢を下って愛鷹神社へ戻る周回ルートを歩くとのことで、丁寧に地図で説明してくれました。 私の計画性の無さを思い知らされました。

強い風と霧の中に居ても仕方がないので、呼子岳へ向かうことにします。南側の細くて急な道を下ります。両山の標高差だけでも約190mあるのでそれ以上、下らなければならない筈です。帰りにはそれが登りになるのでいやだなと思いながらも下り続けます。中年カップルが登ってきました。山慣れた感じのお二人です。すれ違いができない道幅なので、お二人は私が下るのを待っていてくれます。私は「お先に」と言って少し足早に歩を進めたところ石車に乗って尻餅をついてしまいました。カッコワルイ~。

そこは平然を装って直ぐに立ち上がり下り続けました。
下れば少しは霧が切れるかもしれないと淡い期待をしていましたが、一向に晴れる気配がありません。呼子岳から見える越前岳を写したかったのですが無理みたいです。下りの傾斜が緩くなってきた辺りで、後方から鈴の音が微かに聞こえたので振り返ると、例の写真の男性が迫っていました。下りで抜かれたことはほとんどないので正直びっくりしました。眼前の岩場の登りで追い抜いてもらい後を追いかけますがスピードが全然違います。みるみる姿が見えなくなりました。

元気な67歳

右に高場所への分岐があり呼子岳へは左へ90度曲がるように道が付いています。
鞍部を越えたのか道は登りになってきました。少し登ると例の写真の男性が登山道を逸れた斜面で食事をしています。「山頂は風が強いからここで食べているんだ」と説明してくれます。「お先に」を言ってやや急な滑りやすい赤土の道を登って行きます。

高場所分岐

10mくらい登って左に愛鷹神社への道を見送ると、ひょっこり呼子岳の山頂に飛び出します。呼子岳の山頂はとても狭く、標識が無ければ見過ごしてしまうと思います。記録写真を撮っていると例のハイスピードの男性が到着しました。写真を撮って差し上げてからお話を伺うと、氏は群馬県在住でお歳は67歳、57歳で早期退職優遇制度を利用して会社を辞め、現在退職金で暮らしているとのこと。羨ましい~。退職してから300名山完登を目指し、現在120山まできたそうです。

氏曰く初めから300の名山を登ることにすれば、何度も同じ方面へ出かける必要がなく経済的で合理的だという。確かにおっしゃるとおり。300の名山踏破のネックは費用と時間なので、いかに効率よく登るかにかかっているのです。昨日は丹沢の大山(300名山)に登り、明日は御正体山(200名山)へ登る予定とのことでした。元気な67歳です。私も負けずに登り続けられるようになりたいものです。山頂でお互いの安全を願ってエールを交換しそれぞれの道に分かれました。

久し振りに写真に登場しました

赤土の急坂を下っていくと中年カップルが登ってきました。男性はかなり息があがっています。道を譲っていただき先に下ります。霧は一向に晴れません。風は以前よりも強くなったように感じます。この道は危険な箇所はないのですが痩せた尾根道です。
下ってきたときには気が付かなかったのですが、馬酔木(アセビ)の集落がありました。

痩せた尾根道

アセビは有毒な成分を含んでいて動物に食べられることがないため、この木が多く繁殖している地域は、草食獣による食害が多い可能性があると考えられるそうです。早春に咲く白い花は綺麗なのですが・・・
越前岳への登り返しでは、一度水の補給をしましたが思っていたほどのこともなく楽に登れました。

呼子岳の往復はガイドブックのとおり丁度2時間を要しました。
再びの山頂も霧の中で視界は全くありません。
2時間前のときよりも登山者は増えていましたが、皆さん山頂の強い風を避けて木陰で食事をされています。昼食時間には未だ少し早くお腹も空いてもいないし、霧の中に居ても意味が無いのでこのまま下山することにします。

越前岳に再び

朝の登りで霜柱が立っていた登山道は、融けて泥んこ道に変貌しています。スリップに気を付けてややスピードを上げて下ります。
所々に侵入を防ぐ為のロープが張ってあるのですが、いつの間にかその中に入ってしまうような道で、沢山の登山者が思い思いの歩き方をして、複数の新道を作ってしまっているようです。

正規ルートが分かりにくい登山道

林の中を抜けて馬ノ背に着くと、5~6名のグループが鍋を囲んで宴会?をしていました。楽しそうで少し羨ましくなります。下るに従い少しずつ霧が薄くなってきましたが、正面に姿を現すはずの富士山は雲の中で裾野すら見えません。今日は快晴の筈だったのに神様に意地悪をされているみたいです。
十里木高原展望台の手前の霜解けのくぼ地を下っていて、ちょっと余所見をしたら見事にスリップして尻餅をつきズボンを泥だらけにしてしまいました。最後まで油断してはいけませんね。

今朝の登りの時に見えた馬ノ背からの富士山

駐車場を見下ろす展望台からは今朝登った階段を右に分けて、左の土の道を下ることにします。正面のゴルフ場でプレーヤーを眺めながら、のんびりと下りました。
駐車場近くの東屋で卵入りのチキンラーメンを食べてから家路につくことにします。
駐車場を出る頃になって、富士山の周りの雲も次第に切れ始め、御殿場インターに入るころにはその姿を見ることができました。 今日の天気は何だったのでしょうね~??