甲武信ケ岳

2,475m 長野県・山梨県・埼玉県

2005年8月3日(土)  晴れ
【メンバー】 単独

自宅(0:15)→(5:13)毛木平駐車場(5:50)→(7:21)ナメ滝(7:30)→(8:48)水源(9:10)→(10:07)甲武信ヶ岳(10:25)→(10:45)甲武信小屋(11:50)→(12:35)水源(12:40)→(13:30)ナメ滝(13:40)→(14:50)毛木平駐車場(15:25)

【歩行時間 5時間48分】

7月に入り梅雨のため毎週のように休みの度に雨の予報で、山へ向かう気持ちが萎えていたところ、「山と渓谷社」が75周年記念に出版した日本百名山地図帳を買い求めたのがきっかけで、百名山制覇への気持ちが多少復活してきました。何の予約も無く日帰りで行けるところであることと、最近、車に装着したETCを使ってみたいこともあって高速道路が使える甲武信ヶ岳へ行くことにして、準備を進めました。
この方面は瑞牆山へ行ったことがあり、多少道路は分かりますが、初めての山なので登山口を早朝に出発したかったので、午前1時に家を出ることにして9時から仮眠しようとしましたが、なかなか寝付けないため、いっそのことサービスエリアか登山口で寝ることにして0時15分に家を出ました。

深夜の国道16号は定期便のトラックなどが多く決して空いてはいません。僅かの高速代をケチるために相模湖ICから中央道に乗りました。トイレ休憩した談合坂SAを出て、大月JCTを過ぎたあたりから睡魔が襲ってきました。これでは危ないので釈迦堂PAで仮眠することにします。須玉ICで高速を降り、信州峠を越えようかR141で行こうか悩んだ挙句、道幅も広く道標も整備されていると思われるR141を選びました。多少遠回りですが道路は快適で正解だったように思います。

毛木平駐車場

途中の道の駅「南きよさと」へ立ち寄りましたが、自家用車が2台ほど駐車して仮眠しているようでした。毛木平へ近づくにつれ道端に赤い幟旗が立ててあり、何やら「入山禁止」の大きな文字が読めます。まさかここも両神山のように地権者と行政の喧嘩が始まったのかと多少心配しながら5時10分駐車場に到着しました。
駐車場はネットで確認したとおりとても広く、車止めも付いた本格的な駐車場で、50~60台は駐車ができそうな感じです。

綺麗なトイレ

登山口近くに車を止めて目に入ってきたのが「入山禁止」の立札。「この地域内は入札山につき一般の方の入山を禁止します。入山者には罰則として入札代金の倍額をいただきます。」と書いてあります。ここまで来て引き返すのも悔しいし思案していると一人の登山者が登山口に入っていくではありませんか。よし自分も行くと決心して出発準備をスピードアップします。多少の不安を懐きながら、毛木平駐車場を5時50分に出発しました。後から聞いた話ですが、この地域は松茸が有名で、その盗難予防の措置だとか。盗人のために変な心配をさせられて損しました。

駐車場奥の入山禁止の立札

登山口からしばらくは西沢(千曲川・信濃川源流)に沿った林道を進みます。林道終点から右側の遊歩道に取り付きますが、こちらも林道のように平坦です。

樹林の中の遊歩道は西沢を何度か渡り帰します。沢からの涼風が熱い体にとても心地良いです。源流までは同じような遊歩道を遡上します。

源流への遡上

千曲川源流散策路

歩き始めて1時間30分ほどで、ナメ滝に到着します。一枚岩の上を流れる滝を総称して「ナメ滝」というそうです。
ナメ滝で小休止してから水源を目指します。

ナメ滝

登山を始めて何年か経ちますが、川の水源に向かって遡上した経験は無かったので何だかワクワクした気持ちになります。

西沢沿いに登る

雰囲気のある道

この遊歩道は、普段歩いている人なら登山経験が無くても十分に歩くことができるまでに整備されています。往復の時間は少しかかるでしょうが小学生の家族連れでも十分楽しめます。でも、心無い人たちが大勢押し寄せて来て、この自然を破壊される心配もあるので複雑な心境になります。

千曲川信濃川水源地標です


西沢の水量が少なくなると、突然「千曲川・信濃川水源地標」と書かれた標柱が目に飛び込み小さな円形の平らに出ます。源流に到着したのでした。歩き始めてちょうど3時間でした。水源には先立ちの男性が食事の支度をしています。未だ到着して間もないようで忙しそうに動いています。

水源に近づいてみます。
水源は想像していたよりも少量の湧き水で、これが日本一の流域面積を誇る信濃川になるのかと思うと自然の大きな循環の起源を見る思いがします。
間もなくもう一人単独行の男性が到着しました。駐車場で会釈した多摩ナンバーの方です。
(この男性に後でお世話になるとは、この時は知る由もありませんでした)

食事の支度をしていた男性とこれからの予定について言葉を交わしながら、朝ごはんをまともに食べていなかったので持参したおむすびを一つ立ちながら食べます。後から来た多摩の男性は先に出発しました。

ここでゆっくりしても居られないので、自分も出発します。
8月だというのに稜線へ出るまでの急登には未だ石楠花が残っています。

最後のガレの急登をごく僅かで山頂に到着しました。先の多摩の方とお互いに記念写真を撮りあいます。
ガイドブックによると360度の展望とのことですが、今回も運悪く霧が立ち込めていて展望は利きません。

今日は晴れるとの天気予報でしたが本当に残念です。
記念バッジを買いに甲武信小屋へ向かいます。15分程の下りですが長く感じます。

小屋には誰も居ません。机の上のメモに「山に行ってます。2時ころ帰ります。お茶でも飲んで休んでいてください」とあり、小銭が入った籠も置きっ放し。人を疑わない気持ちに感動します。山バッジを買おうと財布を捜しましたが見つかりません。車に忘れてきたようです。
仕方なく、小屋前のベンチで休んでいた多摩の方にお金(500円)の借用を申し出てみます。

恩人のKさん

見ず知らずの私に快く承知していただき大変感激させられました。ここまで来て買えなかったら何とも心残りになったことでしょう。感謝!この多摩のKさんは、若いころから登山をしていたそうで、山談義に花が咲き1時間にもなってしまいました。
このKさんと一緒に往路を下山し帰路につきました。下山中の会話はほとんどありませんでしたが、最後には互いにメールアドレスを教えあい、その後も山情報を交換しています。